このページの要点
- 労務や現物の出資は、内容と評価額を書く。現物は、所有権を移すのか、使わせるだけなのかも書く。
- 払込は、期限を日付で書き、口座の名義と権限者、受領の記録、出資金を個人の資産と分ける定めまで置く。
- 組合では、他の組合員の債務不履行を理由に契約を解除できない(民法667条の2第2項)。遅れの処理は、催告・遅延損害金・持分の見直し・除名の順に契約に置く。
- 追加出資は、義務か任意か、上限、承認の手続、出さなかったときの持分を書く。
結論:出資は「何を・いくらで・いつまでに・どこへ・遅れたら・追加は」の6点を書く
共同事業の契約書で、出資の条項に最低限入れておきたい事項は6つあります。何を出すのか(金銭・労務・現物)、それをいくらと数えるのか(評価)、いつまでに出すのか(期限)、どこへ出すのか(口座と名義)、遅れたらどうなるのか(遅延の扱い)、追加が必要になったらどうするのか(追加出資)です。出資額だけを書いた契約書は多いのですが、出資額は6点のうちの一つにすぎません。
出資の条項は、契約が結ばれる時点では当事者の関係が良好なので、細かく書くことが後回しにされがちです。ところが、出資は事業の元手であり、後に利益の割合、議決の仕方、脱退時の払戻し、清算時の取り分の基準になります。出資の条項が曖昧だと、それを土台にした他の条項がすべて不安定になります。ここでは、出資と決めた後の実務、つまり払込と追加を中心に整理します。出資か貸付かの見分けは、このサイトでは詳しく扱わず、別のガイドで扱います。
出資の種類と評価:金銭・労務・現物をどう数えるか
民法は、組合契約について、出資は労務を目的とすることもできるとしています(民法667条2項)。金銭だけでなく、事業に必要な技能や時間の提供、設備や在庫の提供も出資になりえます。ただし、条文は、労務や現物の評価の仕方を示していません。評価の方法を決めないまま「出資割合に応じて分ける」と書くと、割合の元になる数字が定まりません。
出資の種類ごとに、契約書に書くことと揉めやすい点
| 種類 | 契約書に書くこと | 揉めやすい点 |
|---|---|---|
| 金銭 | 金額、払込の期限、払込先の口座 | 一括か分割か。遅れたときの扱い。出資金と売上金の区別 |
| 労務 | 提供する業務の内容、時間や期間、評価額(月額相当額や総額) | 評価額が高すぎる・低すぎるという不満。提供できなくなったときの扱い |
| 現物(設備・在庫・店舗の権利など) | 品目、数量、評価額と評価の基準、所有権を移すのか使用させるだけか | 評価額の根拠。壊れたときの負担。抜けるときに返すのか |
金銭は、金額と通貨が決まれば数えられるので、最も揉めにくい出資です。ただし、出資を一括で払うのか、事業の進み具合に合わせて分割するのかを決めておかないと、「払い込んでもらえない」「まだ払う時期ではない」という行き違いが起きます。
労務の出資では、何を提供するのかを具体的に書くことが要です。「事業の運営全般」と書くだけでは、時間も範囲も決まりません。業務の内容、おおよその時間、期間を書き、そのうえで評価額(月額で○円相当、全期間で○円相当など)を決めます。評価額を決めないで労務を出資とすると、利益の割合や抜けるときの払戻しの計算が定まりません。事情が変わって労務を提供できなくなったときに、出資の価額を減らすのか、金銭で補うのか、持分を見直すのかも、あらかじめ書いておくと整理しやすくなります。
現物の出資では、所有権を事業に移すのか、使わせるだけなのかが最も重要です。組合に当たる場合、各組合員の出資その他の組合財産は総組合員の共有に属します(民法668条)。所有権を移す出資なら、抜けるときにその物がそのまま戻るとは限りません。使用させるだけの形にするなら、使用料の有無、壊れたときの負担、返す時期を書いておきます。評価額は、取得価額、時価、当事者の合意額のどれを基準にするのかを書いておくと、後の説明がしやすくなります。出資した物を台帳に載せる方法は事業で生まれた資産のページでも扱います。
書き方の例金銭以外の出資に関する定め
- 乙は、本事業のために、別紙に掲げる物(以下「出資物」という。)を出資する。出資物の評価額は、別紙記載の金額とする。
- 出資物の所有権は、○年○月○日をもって、乙から本事業に移転する。ただし、別紙で使用させるにとどめると定めた物については、所有権は乙に留保され、本事業は、乙の許諾の範囲で使用する。
- 甲は、本事業のために、月○時間を目安として、別紙に掲げる業務を行う。この労務の出資の評価額は、月額○円とし、○年○月○日から○年○月○日までの合計額を出資の価額に算入する。
- 甲が前項の業務を行えなくなったときは、甲乙が協議のうえ、残りの期間の労務の評価額を、金銭による出資に改め、または出資の価額から減額する。
第1項・第2項は現物の出資、第3項・第4項は労務の出資の例です。2つの出資を同じ契約書に置くとき、評価額の一覧を別紙にまとめておくと、利益の割合や払戻しの計算の元にできます。金額・時間・日付は○と伏せています。
払込の期限・口座・名義:どこにいつ入れるかを決める
出資金を入れる口座と名義は、出資の条項の中で見落とされやすい点です。個人名義の口座に入れるのか、共同事業のために作る口座に入れるのか。口座の名義は誰か。通帳やインターネットバンキングの権限は誰が持つのか。これらを決めておかないと、払い込んだ側は「入金した」と考え、受け取った側は「まだ事業の資金として受けていない」と考える、という行き違いが生じます。
出資金の払込の手続の順序
- 期日の確定払込の期限を、日付で書く。分割なら各回の期日と金額を書く
- 払込先の指定口座の名義、金融機関、口座の種類を契約書か別紙に書く
- 入金の確認入金後、受け取った側が確認の連絡を出す期限を決める
- 受領の記録受領書や確認のメールなど、受領した日と額が残る方法を決める
- 帳簿への記載出資金として帳簿に載せる。売上金と区別して管理する
流れのうち、4番目の受領の記録は、払込を証明する資料になります。のちに出資額や持分で意見が分かれたときの出発点になります。
運営する側が出資金を受け取って管理する形では、民法の委任の規定が、組合の業務を決定し、または執行する組合員に準用されます(民法671条)。受任者は、事務を処理するに当たって受け取った金銭を委任者に引き渡さなければならず(民法646条1項)、引き渡すべき金額や、その利益のために用いるべき金額を自分のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払い、なお損害があればその賠償の責任を負います(民法647条)。これらは、出資金が管理者の個人の財布と混ざることを避けるための考え方です。条文に頼るだけでなく、契約書で、出資金の口座を個人の口座と分けること、出資金を目的外に使わないこと、月ごとに残高を確認することを書いておくと、実務で機能します。確認の方法は帳簿・口座・検査権のページで扱います。
書き方の例出資の払込に関する定め
- 甲は、本事業のために金○円を、○年○月○日までに、乙が本事業のために開設した口座(名義:○○、金融機関:○○)に振り込む方法により出資する。
- 乙は、前項の入金を確認したときは、確認した日から○日以内に、書面または電磁的方法により、甲に対し受領の旨を通知する。
- 乙は、出資金を、本事業に係る支出以外の目的に使用してはならない。また、乙は、出資金を自己の固有の資産と区別して管理する。
- 乙は、出資金の残高および使途を、毎月○日までに書面または電磁的方法により甲に報告する。
口座の名義と通帳・インターネットバンキングの権限者が違う場合は、権限者も書いておきます。金額や日数は○と伏せています。
払込が遅れたとき:利息と損害賠償、解除ではなく契約の中で処理する
金銭を出資の目的とした場合に、組合員が出資を怠ったときは、その利息を支払うほか、損害を賠償しなければなりません(民法669条)。金銭の給付を目的とする債務の不履行についての損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定め、約定の利率が法定利率を超えるときは約定の利率によります。債権者は損害の証明をする必要がなく、債務者は不可抗力を抗弁にできません(民法419条)。法定利率は年3パーセントを出発点として、3年を一期として変動する仕組みです(民法404条2項・3項)。契約書で遅延損害金の率を定めなければ、遅滞の責任を負った時点の法定利率で計算されます。
組合契約では、もう一つの注意があります。組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務を履行しないことを理由に、組合契約を解除できません(民法667条の2第2項)。出資が遅れている人がいても、他の組合員が契約を解除して関係を終わらせる、という解決は、条文の出発点では使えません。そのため、組合に当たる共同事業では、契約書の中で、遅れたときの段階的な処理を用意しておく意味が大きくなります。たとえば、催告(期限を示して履行を求める通知)、猶予期間、遅延損害金、持分の調整、それでも払われないときの除名、という順序です。除名は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってすることができ、除名した組合員に通知しなければその組合員に対抗できません(民法680条)。
遅延損害金の率は、高ければよいわけではありません。賠償額の予定は定めることができ、違約金は賠償額の予定と推定されます(民法420条)。もっとも、公の秩序または善良の風俗に反する法律行為は無効です(民法90条)。過大な率や、遅れた金額を大きく上回る違約金を置くと、その有効性が問題になりえます。率は、実際に遅れたときの損失を埋める水準を考えて決めます。
書き方の例(一般的な例) 出資が遅れたときの書き方
遅れたときの扱い
理由組合に当たる場合、他の組合員の債務不履行を理由とする解除は、条文の出発点では使えません(民法667条の2第2項)。段階を踏んだ処理を契約の中に置くと、遅れた側にも、他の側にも、次に起きることが見えます。
持分の見直し
理由出資が一部しか入っていないのに満額の割合で利益を受けると、他の当事者が不公平を感じます。割合を実際の払込と連動させておくと、遅れそのものを重くしなくても調整できます。
遅れを防ぐ工夫としては、払込の前に事業の準備を始めない、払込の確認が済むまで取引先への支払いに着手しない、という運用面の約束も有効です。払込が事業開始の条件になる形にしておくと、出資の遅れが事業の進み具合と連動して見えるようになります。
追加出資:義務なのか任意なのか、上限と承認の手続を書く
事業が始まってから資金が足りなくなることは珍しくありません。追加出資について、民法の組合の規定の中に、組合員に追加の出資を当然に求める規定は見当たりません。つまり、追加出資の義務は、契約で定めるかどうかで決まります。契約書に何も書かなければ、追加の資金が必要になったときに、誰がどれだけ出すのかを、そのつど話し合いで決める必要があります。
契約書に書くときは、まず「義務」か「任意」かを決めます。義務とする場合は、上限(総額○円まで、出資額の○倍まで、など)、時期、承認の手続を決めます。上限のない義務は、予測がつかない負担になるので避けます。任意とする場合は、出さなかった側の持分がどうなるか(追加分を出した側の割合が上がり、出さなかった側の割合が下がるのか)、出さなかったことで不利益を受けないのかを決めます。追加の資金を出資ではなく貸付で入れる選択肢もありますが、貸付の書き方は別のガイドで扱います。
追加出資を求める側の手続も大切です。事業計画と資金の使い道を示すこと、既存の出資金が計画どおりに使われたことを報告すること、その内容を相手方が確認する期間を設けることを条件にすると、追加の資金が何に使われるのかが見えます。追加出資の決定を、運営者一人で決められる形にすると、資金を出す側が突然の追加を求められる危険が生じます。承認の方法はお金に関わる重要事項の決め方のページでも扱います。
書き方の例追加出資に関する定め
- 本事業の運営のため資金が不足するおそれがあるときは、乙は、事業計画および資金の使途を記載した書面を添えて、甲に追加出資を求めることができる。
- 甲は、前項の求めがあったときは、書面を受け取った日から○日以内に、追加出資に応じるか否かを書面または電磁的方法により回答する。
- 甲の追加出資の総額は、金○円を上限とする。甲は、この上限を超える追加出資を求められても、応じる義務を負わない。
- 甲が追加出資に応じなかったときは、追加出資をした当事者との間で、損益の割合を、追加出資後の出資の価額の割合に改める。この改定は、追加出資が払い込まれた日から効力を生ずる。
第3項の上限と、第4項の持分の見直しをセットで置いています。上限が書かれていないと、追加の義務が実質的に無制限になります。
書き方の例(一般的な例) 追加出資の書き方
追加の資金が必要なとき
理由「協力して」では、義務なのか任意なのかも、いくら出すのかも決まりません。義務の有無、上限、手続、応じなかったときの扱いに分けて書きます。
追加分の持分
理由「協議して定める」と書くと、追加の資金が必要なときに、割合の話し合いが交渉の材料になります。計算の方法を先に書いておくと、追加の判断がしやすくなります。
出資額と損益割合・議決権の連動:割合を決める3つの場面
出資の数え方は、お金の分け方と意思決定の仕方の両方に影響します。民法の組合の既定では、損益の分配の割合を定めなかったときは、各組合員の出資の価額に応じて定めます(民法674条1項)。有限責任事業組合でも、総組合員の同意で別段の定めをした場合を除き、履行した出資の価額に応じて定めます(有限責任事業組合契約法33条)。一方、業務の決定は、組合員の過半数で行うのが原則で(民法670条1項)、条文は「組合員の過半数」と書いており、出資額に応じた票数とは書いていません。
この差が、契約書での選択につながります。出資額、損益の割合、決定権の三つを、連動させるのか、切り離すのかを決めておきます。資金を多く出した側が損益の多くを受け取るのは分かりやすい一方、運営を担う側が労務を多く提供しているのに、出資割合が小さいために取り分が小さくなる、ということも起きます。逆に、損益を出資割合と切り離す場合は、その理由(運営者の労務の評価など)を条文に書いておかないと、出資者が納得しにくくなります。
出資額・損益割合・決定権の連動のさせ方
| 連動のさせ方 | 損益の割合 | 決定権 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| すべて出資額に比例させる | 出資額に比例 | 出資額に比例(または重要事項のみ全員一致) | 出資額の差が事業への貢献の差とほぼ重なる場合 |
| 損益は固定、決定は頭数 | 出資額と関係なく、あらかじめ定めた割合 | 各人1票(過半数) | 対等な立場で始め、出資額の差が小さい場合 |
| 損益は出資と労務の二段階 | まず出資に応じた分を分け、残りを運営の貢献に応じて分ける | 運営は運営者、重要事項は全員の同意 | 資金を出す側と運営する側に分かれる場合 |
| 決定は事項ごとに分ける | 別途定める割合 | 通常の業務は運営者、借入・追加出資・事業の拡大は全員の同意 | 運営者に任せつつ、お金の大きな決定だけ関与したい場合 |
どの連動を選ぶかは、事業の性質と当事者の力関係で決まります。ここで大切なのは、選んだ連動を、契約書の条文の言葉で説明できることです。「損益は出資の割合に応じて」と書くのか、「損益は各2分の1とする」と書くのか。そのどちらも、出資を何で数えるのかが決まって初めて意味を持ちます。利益の定義と分け方は利益の定義のページで、赤字のときの負担の割合は赤字・損失の負担のページで扱います。
契約を結ぶ前の確認の問いと点検
出資の条項は、契約を結ぶ前に、当事者が次の問いに答えられるかどうかを確かめると、書き漏らしが見つかります。
確認の問い出資の条項を書く前に、当事者が答える問い
出資の中に労務や現物はあるか。あるなら、それぞれ何円と数えるのか。
金銭以外の出資は、評価の方法と評価額を書かなければ、利益の割合や払戻しの計算の元になる数字が決まりません。
出資金の入金先は、共同事業のための口座か、誰かの個人の口座か。
入金先で、出資金が事業の資金として区別されているかが決まります。個人の口座に入れる形なら、分けて管理する約束と月次の確認が要ります。
払込が遅れたら、何日後に、どの利率の遅延損害金が、誰に発生するのか。
組合に当たる場合、遅れを理由に解除できない(民法667条の2第2項)ため、遅れの処理を契約書に置く必要があります。
追加出資は義務か任意か。義務なら上限と承認の手続は何か。
上限のない義務は予測ができない負担になります。追加を求める側の手続を決めておくと、使い道が見えます。
出資額は、損益の割合と、決定に参加する権利に、どう結びつけるのか。
三つの連動のさせ方を言葉にしておくと、後で一部だけ「実質は違う」という主張が出にくくなります。
出資の条項の点検
- 出資の種類(金銭・労務・現物)ごとに、評価の方法と評価額を書いたかを確かめる。
- 現物の出資は、所有権を移すのか、使用させるだけなのかを書いたかを確かめる。
- 払込の期限を日付で書き、分割の場合は各回の金額と期日を書いたかを確かめる。
- 口座の名義、金融機関、権限者を書き、出資金を個人の資産と分けて管理する定めを置いたかを確かめる。
- 払込の確認と受領の記録の方法を書いたかを確かめる。
- 遅れたときの段階(催告、遅延損害金、持分の見直し、除名)を書いたかを確かめる。
- 追加出資が義務か任意かを書き、義務なら上限と承認の手続を書いたかを確かめる。
- 出資額と損益の割合、決定権の関係を一文で書けるかを確かめる。
起きがちなこと:払込のとき、追加のとき、割合のとき
場面別の起きがちなこと
- 払込の期日が近づいたとき出資金を個人の口座に入れるつもりだった側と、共同事業用の口座を作るつもりだった側で、入金先の認識が違う。入金した証拠が通帳の記録しかなく、受領したかどうかで話が食い違う。
- 労務の出資が評価されていないとき労務を出資として数えるつもりだったが、評価額を決めていなかったため、利益の割合の計算の場面で、労務の分が数字に入らない。労務を提供した側が、報われていないと感じる。
- 資金が足りなくなったとき追加出資について何も書いておらず、「出せる人が出す」という口頭の了解で進む。出した側は持分が増えるつもりだが、出さなかった側は割合は変わらないと考えている。
- 出資の遅れが続いたとき遅れている側に対し、契約を解除して終わりにしたいが、組合に当たる形では解除できない。除名の事由も書いておらず、事業は続くのに、遅れた状態だけが残る。
- 決定の場面出資額が違うのに、決定は頭数の過半数で行う形になっている。多く出した側が、重要な支出を止められないことに気づく。
これらは、出資の条項を、額だけで終わらせず、評価、期限、口座、遅れ、追加、連動の6点まで書き切ることで、多くは防げます。出資を土台に、費用・利益・損失の取り決めが乗ってくるので、出資の条項は、契約書の中で最初に点検する部分と言えます。
よくあるご質問
労務や技能だけを出資にして、利益の分配を受けることはできますか。
民法の組合では、出資は労務をその目的とすることができます(民法667条2項)。ただし、労務の評価の方法は条文にないため、提供する業務の内容、時間や期間、評価額を契約書に書いて、利益の割合や払戻しの計算の元にします。有限責任事業組合は、労務を出資にできません(有限責任事業組合契約法11条)。
出資金の払込が遅れたら、どんな責任が生じますか。
金銭を出資の目的とした場合、組合員が出資を怠ったときは、利息を支払うほか、損害を賠償しなければなりません(民法669条)。契約書で遅延損害金の率を定めなければ、遅滞の責任を負った時点の法定利率で計算されます(民法419条1項)。賠償額の予定や違約金を置く場合は、過大にならない水準を考えます(民法420条、民法90条)。
出資が遅れている人がいるとき、契約を解除できますか。
組合契約では、組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除できません(民法667条の2第2項)。契約書の中に、催告、遅延損害金、持分の見直し、除名といった段階的な処理を書いておく方法があります。除名は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってすることができます(民法680条)。
追加出資に応じる義務は、契約書に書かなくても生じますか。
民法の組合の規定の中に、組合員に追加の出資を当然に求める規定は見当たりません。追加出資の義務は、契約書に定めるかどうかで決まります。義務とする場合は、総額の上限、時期、承認の手続を決めておくことが、予測できない負担を避ける基本です。
出資額が多い人は、決定でも多く発言できますか。
民法の組合では、業務は組合員の過半数で決定すると定められており(民法670条1項)、条文は出資額に応じた票数を定めていません。出資額に応じた発言権にしたいときや、借入などの重要な事項は全員の同意にしたいときは、契約書にその旨を書きます。
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本ページは一般的な情報提供です。共同事業の内容、出資の形、当事者どうしの関係によって、必要な定めは異なります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 法務省 / 中小企業庁