共同事業の重要事項の承認の決め方

借入れ、新規出店、追加投資、分配の変更のような事業の将来を左右する判断は、金額と種類の線を引いて、誰が決めるかを先に書きます。

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二人の共同事業で「過半数で決める」と書いても、意見が割れれば何も決まりません。承認の線と、対立したときの出口を、数字と手順で書いておく必要があります。

このページの要点

  • 承認の線は、金額と種類の二つの物差しに、同じ相手への合計額の累積基準を加えて引く。運営者の単独、事前協議、事前の同意の三段階に分けると運用しやすい。
  • 民法の組合では、業務は組合員の過半数で決まる(民法670条1項)。二人の共同事業では二人の一致が要り、意見が割れると決まらない。出資額に応じた議決の重みは、契約で明記する。
  • 「協議する」「同意を得る」「通知する」は意味が違う。同意の方法、回答の期限、無回答のときの扱い、緊急時の例外を、事項ごとに書く。
  • 意見が対立したときの協議の期限、現状維持の原則、出口(持分の買取り、事業の引継ぎ、解散と清算)を、一続きで書く。

お金に関わる重要事項は、「金額」と「種類」の二つの物差しで承認の線を引く

共同事業が始まると、日々の支払いのほかに、「銀行から借りる」「新しい拠点を出す」「設備を増やす」「利益を分配せず留保する」といった、事業の将来に響く判断が必ず出てきます。これらを誰が決めるのかが書かれていないと、一方が単独で決めて既成事実を作る、あるいは逆に、何も決まらず事業が止まる、という両極端が生じます。

このページでは、資金を出す側を「出資者」、事業を実際に動かす側を「運営者」と呼びます。重要事項の承認の定めは、出資者にとっては自分の出した資金の使われ方を守る手段であり、運営者にとっては、どこまで自分の裁量で動いてよいかを知る手段です。両者の関与の線を、事前に数字と種類で引いておくことが、このページの主題です。

線の引き方の基本は、金額と種類の二つの物差しを組み合わせることです。日常的な支出は運営者が単独で判断します。一定の金額を超える支出や、一定の種類に当たる行為は、事前に相手に協議します。さらに重要なものは、相手の同意がなければ実行できないことにします。三段階に分けて書くと、運営者の機動力と出資者の安心の両方を確保しやすくなります。

承認の三段階の考え方

段階対象の例決め方置く理由
運営者が単独で決める日常の仕入れ・小口の支払い・定例の費用運営者の判断。事後に報告する事業の機動力を保つ。少額まで承認を求めると回らない
事前に協議する一定額を超える支出、新しい取引先との大口の契約運営者が事前に出資者へ通知し、意見を聞く。最終の判断は運営者出資者が意見を述べる機会を確保する
事前に同意を得る借入れ、担保の提供、新規拠点の出店、追加投資、分配の変更、事業資産の処分出資者の書面等による同意がなければ実行できない事業の存続や出資の価値に直結するため

金額や種類を具体的にどこに置くかは、事業の規模と、当事者の信頼関係で変わります。ここでは、線の引き方の技術と、民法の原則との関係を整理します。

民法の原則|過半数で決める仕組みは、二人の共同事業ではそのままでは機能しにくい

民法の組合(各当事者が出資をして共同の事業を営む契約。民法667条1項)に当たる共同事業では、業務の決定と執行の方法について、次の原則があります。組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行します(民法670条1項)。組合契約の定めにより、一人または数人の組合員、あるいは第三者に、業務の決定と執行を委任することもできます(同条2項)。その委任を受けた者を業務執行者といい、業務を決定し、これを執行します(同条3項)。業務執行者が数人あるときは、その過半数で決定します(同項後段)。総組合員の同意によって決定し、または総組合員が執行することも妨げられません(同条4項)。組合の常務、つまり日常の事務は、各組合員または各業務執行者が単独で行うことができますが、その完了前に他の組合員または業務執行者が異議を述べたときはこの限りではありません(同条5項)。

この仕組みを、共同事業に当てはめると、いくつかの注意点が見えてきます。第一に、当事者が二人の共同事業では、過半数は二人の一致を意味します。意見が割れれば、決定が成立しません。第二に、条文は「組合員の過半数」と書いており、出資額の多い者の意見が重くなる、とは書いていません。出資の割合に応じて議決の重みを変えたいなら、契約で明記しておく必要があります。第三に、業務執行者を定めていない共同事業では、組合の常務(日常の事務)は各組合員が単独でできるため、運営者でない側が、自分の判断で取引先に発注するといったことも、条文の上では想定されます。業務を誰が執行するのかを、契約で定めておく意味はここにあります。

業務を執行する者を定めた場合の解任や辞任にも、条文があります。組合契約により一人または数人の組合員に業務の決定と執行を委任したときは、正当な事由がなければ辞任できず(同672条1項)、他の組合員の一致によって解任できるのも、正当な事由がある場合に限られます(同条2項)。運営者に業務を任せた出資者が、運営者を交代させたいと思っても、契約に定めがなければ、この条文の枠に縛られます。

匿名組合(出資者が営業を行う側である営業者のために出資し、営業から生じる利益の分配を受ける契約。商法535条)では、構造がさらに違います。匿名組合員は、営業者の業務を執行したり、営業者を代表したりすることができません(商法536条3項)。したがって、出資者が匿名組合員にあたる場合に、業務の重要な判断に対する承認権を広く持たせると、型の前提とずれる可能性があります。出資者の関与の範囲は、型とあわせて確認する必要があります。型の違いは共同事業の型の選び方で取り上げています。

承認事項の一覧を作る|金額基準・種類基準・累積基準

承認事項は、条文の中に、一覧の形で書くと分かりやすくなります。一覧に載せる事項は、基本的に、事業の存続や出資の価値に直結する、お金に関わる重要な行為です。

承認事項として書かれやすいお金の重要事項

事項線の引き方一般的な承認の水準
借入れ金額を問わず、または一定額を超えるもの出資者の事前の同意
保証・担保の提供金額を問わない出資者の事前の同意
設備投資・リース契約一件、または年間の合計が一定額を超えるもの事前の協議または同意
新規拠点の出店・既存拠点の閉鎖種類基準。金額を問わない出資者の事前の同意
追加の出資の要請種類基準双方の同意
利益の分配・留保の変更種類基準双方の同意
事業資産の処分帳簿上の価額が一定額を超えるもの出資者の事前の同意
当事者や関連会社への発注金額を問わず、または一定額を超えるもの相手方の事前の同意

金額基準を置くときは、「累積基準」にも注意します。一件ごとの金額は小さくても、一定の期間に同じ相手や同じ種類の支出が重なって、合計では大きな額になることがあります。承認の線を一件ごとにしか置かないと、支出を小分けにして承認を避けることができます。そのため、「一件につき○円を超えるもの、または同一の相手に対する一事業年度の合計が○円を超えるもの」といった、累積の基準もあわせて書きます。

種類基準は、金額にかかわらず承認を要する行為の種類を挙げる方法です。借入れや担保の提供、事業の範囲の変更など、金額の大小では測れない事項に向いています。種類基準を挙げるときは、「その他、事業に重大な影響を及ぼす事項」のような包括条項に頼りすぎないようにします。包括条項は、何が重大かをめぐって、承認が必要かどうかを争うことになりやすいためです。包括条項を置く場合も、具体的な事項を先に列挙したうえで、補足として置きます。

書き方の例承認を要する事項

  1. 運営者は、次の各号に掲げる事項を実行しようとするときは、あらかじめ、出資者の書面による同意を得なければならない。
  2. (1)金融機関その他の第三者からの借入れ(金額を問わない)。(2)本事業の資産を担保に供し、または第三者の債務を保証すること。(3)一件につき○円を超える設備投資、または同一の相手に対する一事業年度の合計が○円を超える発注。(4)新たな拠点の出店または既存の拠点の閉鎖。(5)第○条に定める利益の分配の割合または留保の方法の変更。
  3. 運営者は、前項各号のほか、一件につき○円を超える支出については、実行の○日前までに、その内容を出資者に通知し、出資者の意見を聴く。

金額は「○円」としています。承認を要する事項、金額の基準、累積の基準、事前の通知の期限が揃っているかを確かめてください。

費用として控除できる範囲の定め方は共同事業の費用負担の書き方で、事業資産の処分の扱いは共同事業で生まれた資産の帰属と持ち出しで取り上げています。承認事項の一覧は、これらの条文と照らして、抜けや重なりがないかを確かめます。

最終決定権と事前協議、同意の違いを使い分ける

契約書には、「協議の上で決定する」「相手方の同意を得る」「運営者が決定する。ただし事前に通知する」といった言葉が並びますが、それぞれ意味が違います。この違いが曖昧なまま書かれると、承認が必要だったのかどうかを後で争うことになります。

「協議の上で決定する」と書くと、協議は義務になりますが、協議が整わなかったとき誰が決めるのかが分かりません。「同意を得る」と書くと、同意がなければ実行できず、実質的に拒否権になります。「運営者が決定する。ただし事前に通知する」と書くと、通知は義務ですが、相手の意見に従う義務はなく、最終の決定権は運営者にあります。三者を使い分けて、事項ごとに、どの書き方を採るのかを決めます。

書き方の例(一般的な例) 承認の書き方

同意の方法

よくある書き方重要な事項は、相手方と協議のうえ決定する。
整えた書き方次の事項は、出資者の書面による事前の同意を得なければ実行できない。同意は、書面または電子メールによる。

理由「協議のうえ」では、協議が整わないときに誰が決めるのかが分からない。同意が要る事項は、同意を要する旨と方法を明記する。

回答期限

よくある書き方出資者は、運営者から求められたときは、速やかに回答する。
整えた書き方出資者は、運営者から同意を求められたときは、○日以内に回答する。期間内に回答がないときは、○○とみなす。

理由回答期限がなければ、事業の判断が相手の返事待ちで止まる。無回答の扱い(同意とみなすか、不同意とみなすか)を決めておく。

緊急の場合の例外

よくある書き方承認が間に合わない場合も、手続を踏む。
整えた書き方事業の継続に緊急の必要があり、事前の同意を得る時間がないときは、運営者は、必要最小限の範囲で実行し、実行後すみやかに出資者に報告する。

理由例外のない承認制度は、緊急時に事業を止めてしまう。例外を設けつつ、事後報告と範囲の限定で濫用を防ぐ。

無回答の扱いは、特に注意が必要です。「回答がなければ同意したものとみなす」とすれば、運営者の機動力は保てますが、出資者が見落としたまま同意したことになる危険があります。「回答がなければ同意しなかったものとみなす」とすれば、出資者は保護されますが、運営者は無回答で動けなくなります。どちらを選ぶかは事項によって変えられます。借入れや担保の提供のような重大な事項は「不同意とみなす」、比較的小さな事項は「同意とみなす」、と使い分ける設計も考えられます。

資金を出す側の関与と、名目上の責任の境界

出資者が、重要事項の承認を通じて事業に深く関与すると、実質的な共同経営者と見られる度合いが強まります。その結果、第三者から見て、出資者が事業の債務に責任を負う立場にあると受け止められる可能性があります。民法の組合では、組合の債権者は各組合員に対して権利を行使できるとされていますから(民法675条2項)、関与の仕方と責任の範囲は無関係ではありません。

ここでの設計の考え方は、承認の対象を、お金に関わる重要事項に絞ることです。日常の業務の指示、取引先との個別の交渉、現場の運営などは、運営者に任せる。そのうえで、出資者が把握しておくべき事項は、承認ではなく、報告と情報提供で足りる事項と、承認が必要な事項とに分けて整理します。出資者が口を出す範囲が広がるほど、運営者の裁量は狭まり、事業のスピードは落ちます。反対に、承認権をほとんど持たない出資者は、資金の使われ方を自分で守れません。どこまで関与するのか、どこから先は報告で足りるのかを、あらかじめ決めることが、双方の予測可能性を高めます。

確認の問い出資者の関与の範囲を決める前に

  1. 承認を求める事項は、お金に関わる重要事項に絞られているか。

    日常の業務まで承認の対象にすると、事業が回らず、出資者が事実上の経営者と見られやすくなる

  2. 承認が必要な事項と、報告で足りる事項を区別しているか。

    全部を承認事項にすると、運営者の裁量が失われる。報告事項を設ければ、情報は共有しつつ決定は運営者に任せられる

  3. 出資者が承認を拒否できる理由は、限定されているか。

    拒否の理由に制限がないと、承認権が事業を止める手段になりうる

  4. 承認の対象外とした事項について、出資者が把握する手段を確保しているか。

    承認しない事項であっても、帳簿の検査や月次報告で状況を知る手段がなければ、不安が残る

承認と報告の線引きは、帳簿の検査や月次の報告の仕組みと合わせて設計します。

帳簿の検査や月次の報告の仕組みは帳簿・口座・閲覧権の定め方で取り上げています。承認の線と、報告・検査の仕組みは、一対のものとして設計すると整合しやすくなります。

意見が対立したとき|デッドロックの解決手順を先に書く

当事者が二人の共同事業で、重要事項について意見が割れたまま決着がつかない状態を、デッドロックといいます。承認に同意が必要な事項で、一方が同意せず、他方が実行を望む。この対立が続くと、事業は現状のまま止まります。契約書に解決の手順がないと、時間だけが過ぎて、事業の価値が損なわれます。

解決手順は、段階的に書くのが一般的です。まず、一定期間の協議を義務づけます。協議の期限は「○日」として、協議の方法(対面、書面、電子メール)と、協議の内容を記録に残す旨を書きます。次に、協議が整わなかった事項は、現状を維持し、承認を要する行為は実行しない、と定めます。この「現状維持」の原則を置くと、対立している間に事態が勝手に進むのを防げます。さらに、一定期間にわたって対立が解消しない場合の出口を、書いておきます。出口としては、一方が他方の持分を買い取る、事業を一定の条件で他方に引き継ぐ、事業を解散して清算する、といった選択肢があります。

書き方の例意見の対立が解消しないとき

  1. 第○条に定める承認を要する事項について、出資者と運営者の意見が一致しないときは、双方は、書面による通知を受けた日から○日間、誠実に協議する。
  2. 前項の協議が整わないときは、当該事項は、実行しない。ただし、事業の継続に不可欠な支出で、従前と同程度のものは、この限りでない。
  3. 前項の状態が○か月以上継続したときは、いずれの当事者も、相手方に対し、第○条に定める持分の買取り、または第○条に定める事業の終了について、協議を求めることができる。

日数と期間は「○日」「○か月」としています。協議の期限、現状維持の原則、例外、出口の4点が揃っているかを確かめてください。

出口にあたる持分の買取りの計算や、事業を終了するときの手順は、持分の譲渡・新規加入・脱退の定め方と共同事業の終了と清算の手順で取り上げています。承認の定めを書くときは、承認が得られなかったときの出口まで、一続きで設計しておくのが望ましいといえます。

承認の記録を残す|議事録・書面・電子メールの扱い

承認の制度があっても、承認があったことを後から確かめられなければ、意味が薄れます。「言った、言わない」を避けるために、承認と協議の記録の残し方も決めておきます。

記録の方法には、書面の承認書、電子メール、事業で共有するチャットなどがあります。契約書では、承認は書面または電子メールで行うこと、口頭での承認は効力を認めないこと、承認の記録は事業の記録として保存することを書いておくのが基本です。チャットでの承認を認めるなら、チャットの履歴が事業の終了後も保存される設定になっているかも確認します。協議の結果を議事録の形で残すなら、作成者、確認の方法(双方が確認した旨の返信など)、保存の場所を決めておきます。

承認を得ずに実行された行為の扱いも決めておきます。承認を要する事項を、承認なしに実行した場合、その行為が第三者に対して有効かどうかと、当事者間で責任を問えるかどうかは、別の問題です。第三者との関係では、取引の相手方が承認の制限を知らなければ、取引が有効とされることがあります。このため、契約書の側では、承認のない実行について、運営者が当事者間で責任を負う旨と、損害の填補、元の状態への回復の義務を書いておきます。損失の負担の別枠については共同事業の赤字・損失の負担で取り上げています。

承認の定めを締結前に確かめる

  • 承認を要するお金の重要事項を、一覧にして書いている。
  • 金額基準だけでなく、種類基準と累積基準を併用している。
  • 承認の段階(運営者が単独、事前協議、事前の同意)を、事項ごとに分けている。
  • 同意、協議、通知の言葉を、使い分けて書いている。
  • 回答の期限と、無回答のときの扱いを書いている。
  • 緊急時の例外と、事後報告の義務を書いている。
  • 意見が対立したときの協議の期限、現状維持の原則、出口を書いている。
  • 承認の方法(書面または電子メール)と、記録の保存場所を書いている。
  • 承認なしに実行された行為の、当事者間の責任を書いている。

起きがちなこと

場面別に見る、承認の定めの抜けから起きること

  • 借入れが必要になったとき運営者が運転資金の不足を埋めるために借入れを決めますが、借入れを承認事項にしていないため、出資者は事後に知ります。返済の見通しを聞かされないまま、共同事業の債務が増えています。
  • 新しい拠点を出そうとしたとき出店を承認事項にしていないため、運営者は単独で契約を進めます。出資者は、資金の使い道が最初の想定と変わったと受け止め、承認の線がなかったことを悔やみます。
  • 承認を求めたが返事が来ないとき回答期限も、無回答の扱いも決まっていません。運営者は、返事を待つ間に好機を逃し、出資者は、同意した覚えのない取引が進んでいたと感じます。
  • 二人の意見が割れたときどちらの意見も採用されず、事業は半年にわたって現状のままです。協議の期限も、出口も書かれていないため、事業の価値だけが下がっていきます。
  • 承認の有無が争いになったとき電話での口頭のやりとりで済ませていたため、承認があったのかどうかを示す記録がありません。双方が自分に有利に記憶していて、確かめる方法がありません。

よくあるご質問

共同事業で、一方が勝手に借入れをしないようにするには、どう書けばよいですか。

借入れを、運営者が単独で決められない事項として、承認事項の一覧に載せます。金額を問わず出資者の事前の書面による同意を要するとし、同意の方法(書面または電子メール)、回答の期限、無回答のときの扱いまで書いておきます。借入れだけでなく、担保の提供や保証も同じ扱いにしておくと、抜け道を防げます。

過半数で決めると書くだけでは足りませんか。

民法の組合では、業務は組合員の過半数で決定するとされており(民法670条1項)、二人の共同事業では二人の一致が必要になります。意見が割れたときに決まらないことを避けるには、重要事項ごとに、誰が決めるのか、同意が要るのか、協議の期限と出口をどうするのかを、契約書に書いておく必要があります。

出資者が承認権を持つと、責任も重くなりますか。

承認権の持ち方によって、出資者が事業の実質的な担い手と見られる度合いは変わります。民法の組合では、組合の債権者は各組合員に対して権利を行使できるとされていますので(民法675条2項)、関与の範囲と責任の範囲は無関係ではありません。承認の対象をお金に関わる重要事項に絞り、日常の業務は運営者に任せる設計が、一般的な考え方です。匿名組合では、匿名組合員は営業者の業務を執行できないとされているため(商法536条3項)、出資者の関与の範囲は型とあわせて確かめます。

金額基準は、いくらに設定すればよいですか。

事業の規模と、通常の支出の水準によって変わります。通常の月の支出を基準に、その何倍かを承認の線にする、直近の事業年度の売上の一定割合とする、といった考え方があります。一件ごとの金額に加え、同じ相手への一事業年度の合計額にも基準を置くと、支出を小分けにして承認を避けることができなくなります。

二人の意見が対立して、何も決まらないときは、どうなりますか。

契約書に定めがなければ、承認を要する行為は実行されないまま、事業が現状で止まります。契約書には、協議の期限、協議が整わない事項は実行しない現状維持の原則、一定期間の対立が続いたときの出口(持分の買取り、事業の引継ぎ、解散と清算)を一続きで書いておきます。出口の具体的な計算は、持分と脱退、終了と清算の条項で定めます。

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