このページの要点
- 解散の事由は、確かめられる基準で書く。通知しても相手の同意がなければ終わらない書き方は避ける。
- 清算人は、誰にするか、権限の範囲、報告の義務、報酬と費用を決めておく。
- 債務の弁済は分配より先。当事者の立替金を分配に先立って精算するかも、契約書で決める。
- 残余財産の割合と評価の方法、評価で意見が割れたときの決め方、一方が事業を続けるときの買取りの算式を書く。
結論:終了は「解散」「清算」「分配」の三段階で書く。「折半」の一行では値段が決まらない
共同事業を畳むときは、いきなり財産を分けられるわけではありません。まず、事業を終わらせる原因が生じ(解散)、次に、事業に残っている取引と財産を片付け(清算)、最後に、残った財産を分けます(分配)。この三段階を契約書に順番に書いておくと、揉めずに進みます。
契約書によく見かけるのは、「事業が終了したときは、残った資産と負債を折半する」という一行だけの定めです。これでは、決まるのは割合だけで、次のことが決まりません。いつ終了するのか。誰が片付けるのか。資産はどの価額で評価するのか。借入や未払の費用は誰がどの順に返すのか。立替をした人の返済は割合に先立つのか。設備の撤去や原状回復の費用は誰が持つのか。在庫や顧客の情報はどうするのか。折半の前に決めるべきことのほうが、折半そのものより多いのです。
終了から分配までの順序(民法の組合の場合)
- 解散事由が生じる、または請求・合意により、事業を終える
- 清算人清算を行う人を定める。全員が共同で行うか、選任した人が行う
- 現務の結了進行中の取引を終わらせ、契約の解約や引継ぎを進める
- 債権・債務債権を取り立て、債務を弁済し、立替金を精算する
- 残余財産の分配残った財産を評価し、割合に応じて分ける
民法688条1項は、清算人の職務を、現務の結了、債権の取立ておよび債務の弁済、残余財産の引渡しの三つとしています。この順番が、実務でも基本になります。
このページは、民法の組合に当たる共同事業の終了を中心に、書き方の要点を整理します。持分の払戻しで一人が抜ける場面は持分・脱退のページに、事業を一方が引き継ぐ場面は、このページの後半の買取りで扱います。事業の財産が誰のものかの整理は事業資産のページが前提になります。
解散の事由と、解散を求める方法
民法は、組合の解散事由として、次の四つを挙げています(民法682条)。組合の目的である事業の成功またはその成功の不能、組合契約で定めた存続期間の満了、組合契約で定めた解散の事由の発生、総組合員の同意です。
- 事業の成功または成功の不能:期間限定の事業や、特定の企画のための共同事業で、目的を達したか、達する見込みがなくなったとき。何をもって成功、不能とするかは、契約書で目的を具体的に書いておかないと、判断が分かれます。
- 存続期間の満了:契約書に期間を書いた場合の期間が来たとき。更新の定めがあるか、満了が近づいたら協議する義務があるかを併せて書きます。
- 契約で定めた解散の事由:契約書に、解散する場面を自由に書いておけます。たとえば、一定の期間、赤字が続いたとき、運営者が事業を続けられなくなったとき、出資者の一定割合が解散を希望したときなど。
- 総組合員の同意:全員が合意すれば、いつでも解散できます。
全員の同意が得られないとき、民法は、やむを得ない事由があるときは、各組合員は組合の解散を請求することができると定めています(民法683条)。関係が完全に壊れた、事業が成り立たなくなったなど、やむを得ない事由に当たる場面は、契約書で例を書いておくと、請求の根拠が明らかになります。反対に、各当事者が一方的に事業を終わらせたいだけの場面は、やむを得ない事由には当たりにくいと考えられます。
ここで、もう一つ見落としやすい点があります。他の組合員が契約上の義務を果たさないとき、契約を解除すればよいと考えがちですが、民法は、組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができないと定めています(民法667条の2第2項)。また、組合契約の解除をしたときは、賃貸借の解除の効力に関する規定(解除は将来に向かってのみ効力を生ずる)が準用されます(民法684条、620条)。したがって、相手の不履行を理由に出資を取り戻して契約を白紙にする、という筋道は、組合では取れません。実際には、脱退、除名、解散の請求、合意による終了のいずれかで終わらせることになります。この点は、トラブルの初動を整理したトラブル・FAQのページでも、出資の返還の場面で取り上げます。
書き方の例(一般的な例) 終了の条件の書き方
終了の通知
理由相手の同意を条件にすると、同意がない限り終わらず、解散の事由も定まりません。通知の日数と、終了の効果(清算に入ること)を一体で書きます。
解散の事由
理由「困難」は人によって判断が分かれます。損失の額や期間など、確かめられる基準を書いておけば、解散に入る時点で意見が割れにくくなります。
清算人:誰が片付け、どこまでできるのか
解散した後に、事業を片付ける役割が清算人です。民法は、組合が解散したときは、清算は、総組合員が共同して、またはその選任した清算人がするとし、清算人の選任は組合員の過半数で決めるとしています(民法685条)。清算人の業務の決定と執行の方法には、業務執行者に関する規定の一部が準用されます(民法686条)。清算人が組合契約の定めにより組合員の中から選ばれた場合の辞任と解任には、業務執行組合員に関する規定が準用されます(民法687条)。
清算人の職務と権限は、民法688条に次のように定められています。職務は、現務の結了、債権の取立ておよび債務の弁済、残余財産の引渡しです(同条1項)。清算人は、これらの職務を行うために必要な一切の行為をすることができます(同条2項)。つまり、民法は、清算人に、清算に必要な行為の広い権限を与えています。その分、清算人が一人で全てを決める構造では、他の当事者から見て、清算の過程が見えにくくなります。
契約書では、次のことを定めておきます。
- 清算人を誰にするか(運営者、出資者の代表、双方、または合意した第三者)。事前に決めておかないと、解散した後の選任そのものが争いになります。
- 清算人の権限の範囲。たとえば、一定の金額を超える資産の売却や、特定の取引先との和解は、他の当事者の事前の承認を要する、といった制限。
- 清算人の報告義務。清算の進み具合、資産の売却、債務の弁済を、定期的に書面で報告する。
- 清算人の報酬と費用。無報酬か、報酬を出すか。清算のためにかかる費用は、事業の財産から先に支払う。
- 清算人が事業の資金を自分の物のように使わないための、口座の管理と、使途の制限。
書き方の例清算人の選任と権限
- 本事業が解散したときは、当事者全員の協議により清算人を定める。協議が調わないときは、運営者が清算人となる。
- 清算人は、現務の結了、債権の取立ておよび債務の弁済、残余財産の分配を行う。ただし、一件の金額が○円を超える資産の処分、およびいかなる額であっても当事者またはその関係者との取引は、他の当事者の事前の書面による承認を要する。
- 清算人は、清算の開始から○日以内に、事業の資産と負債の一覧を作成して他の当事者に交付し、以後、毎月、清算の状況を書面で報告する。
- 清算に必要な費用は、事業の財産から支払う。清算人の報酬は、○とする。
「運営者が清算人になる」と定める場合は、清算人の利益と他の当事者の利益が対立し得る場面(運営者の関連会社との取引など)への歯止めも書いておきます。
債権・債務の整理:立替、借入、未払、リースの順序
清算の中心は、債権の取立てと債務の弁済です(民法688条1項2号)。民法の組合の規定には、債務を弁済する順序を細かく決めた条文はありません。この順序は、契約書で決めておく部分です。
最初に、事業が第三者に対して負っている債務と、当事者に対して負っている債務を分けます。取引先への未払、借入、賃料、リース料などは第三者に対する債務で、これを返さずに当事者へ分配することはできません。民法は、組合の債権者は組合財産に権利を行使でき(民法675条1項)、各組合員に対しても、損失分担の割合または等しい割合で権利を行使できる(同条2項)と定めています。つまり、事業の財産で足りなければ、債権者は当事者個人に請求することができます。事業の財産が不足して分配どころではないときの負担は、赤字・損失の負担のページで取り上げています。
次に、当事者が事業のために立て替えた費用や、当事者から事業への貸付と呼べるものがあれば、それを返す順序です。契約書に「立替費用は残余財産の分配に先立って精算する」と書いておけば、残余財産の分配より前に返すことになります。書いていなければ、立替をした人が自分の立替金を、分配と相殺するのか、先に払ってもらえるのかが分かりません。立替の証憑が残っているか、事前の承認を得ていたかも、精算の可否を左右します。
残余財産が出るまでの計算の流れ(一般的な例)
- +事業の資産の売却代金・回収額○円
- -取引先などの第三者への債務の弁済○円
- -借入の返済○円
- -清算の費用(撤去・原状回復・清算人の報酬など)○円
- -当事者の立替金等の返済○円
- =残余財産○円
返済の順序は、契約書で決めておきます。残余財産が出なければ、分配はありません。
債権の取立てにも気を配ります。事業の売掛金や貸付金が、回収できるものか、回収に手間と費用がかかるものかで、清算の期間が変わります。回収できない債権を、誰の負担で諦めるのか、その判断を清算人が単独でしてよいのかも、書いておくと迷いません。
設備の撤去・原状回復・リース・借入:事業が終わっても続く契約を整理する
解散しても、事業が結んでいた契約が自動的になくなるわけではありません。店舗や拠点の賃貸借、設備のリース、借入、取引先との継続的な契約は、それぞれの契約の解約の条件に従って終わらせる必要があります。解約の予告が必要な契約なら、その期間の費用が発生します。契約の途中で解約すると違約金が生じる契約もあります。
清算の場面で、特に争いになるのは、設備の撤去と、借りている場所の原状回復の費用です。誰がいつまでに撤去し、費用を誰がどの割合で持つのかを、契約書に書いておきます。撤去の費用は、清算の費用として、残余財産の分配に先立って事業の財産から出す形にするのが一般的です。事業の財産が足りないときに、当事者が割合に応じて追加で負担するのか、運営者が負担するのかも決めておきます。
借入やリースに、当事者が個人として連帯保証や担保を出している場合は、事業が畳まれても、その責任は残ります。共同事業の契約書の損失分担の割合と、保証をしている当事者の個人の責任は別の話です。一方の当事者が個人保証で債権者に返済したときに、他の当事者に対して分担を求められるかどうかを、契約書で定めておくと、清算の後の食い違いを減らせます。民法の組合の規定には、債権者への責任の割合は書かれていますが(民法675条2項)、保証をした当事者が他の当事者にどう求償するかは、契約書で決めておくべき点です。
在庫と顧客の情報の扱いも、清算の時に決めておく項目です。在庫は、売り切るのか、一方が買い取るのか、処分するのか。売却して得た代金は清算の資産に入れる。買い取る場合の値段は、仕入の価額か、売れる見込みの価額か。保存期限のある商品や、返品の受け付けが残っている商品は、清算が終わるまでの対応窓口を誰にするのかを決めます。顧客の情報(名簿や購入履歴)は、事業の資産であり、同時に顧客の個人情報を含みます。清算の際に、一方の当事者が引き継いで使うことは、顧客から取得したときの利用目的の範囲を超えるおそれがあり、個人情報保護法の確認が必要になる場面があります。条文と個人情報保護委員会の資料で確認してください。契約書では、顧客の情報を引き継ぐ当事者と、その利用の範囲、引き継がない側の消去の義務を書いておきます。
確認の問い終了時の片付けを決める前に確かめること
事業が結んでいる契約のうち、解約に予告や違約金が要るものはどれか。
解散の日と契約の終了の日がずれると、その間の費用が誰の負担か分からなくなります。契約の一覧を作って確認します。
設備の撤去と原状回復は、誰が、いつまでに行い、費用を誰が持つのか。
清算の費用として事業の財産から出す形にするか、当事者が追加で負担するかで、分配の額が変わります。
当事者が個人として保証や担保を出している債務はあるか。
事業が終わっても個人の責任は残ります。分担を求める権利があるかを、契約書で決めておきます。
在庫は、売り切るのか、買い取るのか、処分するのか。
売却か買取りかで、残余財産の額が変わります。返品の受け付けなど、清算の後に残る対応の窓口も決めます。
顧客の情報は、誰が引き継ぎ、どの範囲で使うのか。
引き継ぐ側の利用の範囲と、引き継がない側の消去の義務を、書いておかないと、情報の使い方をめぐって争いになります。
残余財産の分け方:出資の割合か折半か、そして評価の方法
債務を弁済した後に残った財産が残余財産です。民法は、残余財産は、各組合員の出資の価額に応じて分割するとしています(民法688条3項)。出資の価額に応じるのが、契約で別に定めないときの基準です。したがって、出資の額に差がある共同事業で、「折半」と契約書に書いてあれば、契約書の定めが基準になり、出資の割合とは異なる分け方になります。この食い違いを意識して書いているかどうかで、分けるときの納得が変わります。たとえば、一方が資金を多く出し、他方が労務を中心に出している事業で、残余財産を折半にするなら、その理由(労務の出資の評価、運営者の貢献)が契約書の別の箇所から読み取れるのが望ましいといえます。出資の評価は出資の決め方のページ、損益の割合の定め方は利益の定義のページで取り上げています。
割合の次に問題になるのが、評価の方法です。清算の中で資産を全て売却して現金にするなら、評価の問題は起きません。売却せずに、現物のまま分けたり、一方が引き取ったりするなら、現物の値段を決める必要があります。評価の方法を決めておかない契約書では、引き取りたい側は低く、渡す側は高く見積もる構造になります。
書き方の例(一般的な例) 残余財産の分け方
割合と評価
理由割合だけでなく、債務の弁済が先であること、現金にするのが原則であること、現物の評価の手順を、書いておきます。割合が出資の割合と違うときは、その理由も別の条文で読み取れるようにします。
評価で揉めたとき
理由誠実な協議とだけ書くと、協議が調わないまま清算が止まります。期限と、決める人と、費用の負担を書いておきます。
また、残余財産の分配は、債務の弁済の後でなければ行えません。事業の債権者に対して負う債務が残っているのに、先に当事者へ財産を分けてしまうと、その後に債務が見つかった場合に、返す財源がなくなります。分配の前に、債務の全てが確定したことを確認する手順(債権者への告知の期間を置く、帳簿を突き合わせる、など)と、後から見つかった債務の負担の定め(分配を受けた割合に応じて返す、など)を置いておくと、分配後の混乱が減ります。
一方が事業を続けるとき:買取りの算式と、解散との違い
共同事業を畳むのではなく、一方が事業を続け、他方が抜けることもよくあります。この場面は、解散して清算するのではなく、残る側が抜ける側の持分を買い取る形になります。法的には、抜ける側の脱退と払戻しの場面(民法678条、681条)に近くなります。違いは、買取りの代金を、残る側が事業から払うのか、残る側の個人の資金で払うのかという点です。契約書で、どちらなのかを書いておきます。
買取りの価額は、事業の資産と負債の評価に基づく算式で決める方法が、争いを減らします。事業の継続を前提にした価値(顧客や取引先との関係、ノウハウ)を評価に入れるか、純資産だけで評価するかでも金額は大きく変わります。後者のほうが低く、前者は抜ける側に有利です。どちらを採るかは、抜ける側の貢献と、残る側の負担のどちらに重心を置くかという判断になります。
買取りの価額の計算の流れ(一般的な例)
- +事業の資産の評価額(基準日)○円
- -事業の債務、未払の費用○円
- =事業の純資産○円
- +継続を前提にした上乗せ(定める場合)○円
- =抜ける側の持分の割合 ○% を乗じた額○円
- -抜ける側が事業に負う債務・立替金等の精算○円
- =買取りの価額○円
上乗せを置くかどうか、置くときの算式は、契約書で決めておきます。支払は一括か、分割かも併せて定めます。
書き方の例一方が事業を継続するときの買取り
- 運営者が本事業を継続し、他の当事者が本事業から退く場合は、運営者は、退く当事者の持分を、第○条の算式による価額で買い取る。
- 買取りの価額は、退く日を基準日として算定し、基準日から○日以内に、当事者の協議により確定する。協議が調わないときは、第○条の評価人の評価に従う。
- 買取りの代金は、確定の日から○か月以内に支払う。分割して支払うときは、残額に対して年○%の割合による遅延損害金を付し、○回以上支払を怠ったときは、残額の全額について期限の利益を失う。
- 退く当事者は、基準日までに、事業に関する書類、アカウント、鍵その他の財産を、運営者に引き渡す。引き渡しの完了と買取り代金の支払は、互いに同時に行う。
買取りの代金と、事業の引渡しを同時に行う形にすると、片方だけが先に動く不安が減ります。数値は例として伏せています。
この形で特に注意したいのは、抜ける側が、事業の債務について個人の責任を負っている場合です。事業を継続する側が債務を引き継ぐと決めても、債権者との関係では、抜ける側の責任が自動的に消えるわけではありません。債権者の了解を得て、責任を外す手続を取る、残る側が抜ける側に生じた負担を補償する、といった定めを、買取りと同時に置いておきます。
匿名組合の終了の場合と、起きがちなこと
出資者が運営者の事業のために出資する形(商法の匿名組合)では、終了の手続が民法の組合と異なります。匿名組合契約は、事業の成功またはその成功の不能、営業者の死亡や後見開始の審判、営業者または匿名組合員が破産手続開始の決定を受けたことによって終了します(商法541条)。契約が終了したときは、営業者は匿名組合員にその出資の価額を返還しなければならず、ただし、出資が損失によって減少したときは、その残額を返還すれば足ります(同法542条)。事業の財産を共有して清算する民法の組合と違い、営業者が事業を整理し、出資者に出資の価額(損失で減った場合は残額)を返す形です。
契約書を書くときは、どちらの型の終了の仕組みなのかをはっきりさせます。匿名組合の考え方で書くなら、返還の対象は出資の価額で、損失で減った分は引かれる。民法の組合の考え方で書くなら、残余財産を各人の割合で分ける。この二つを混ぜて、出資の額の全額を返しながら残余財産を分ける、と読める書き方をすると、返還と分配のどちらが先で、どこまでが出資者の取り分なのかが分からなくなります。型の違いは型の選び方のページで比べています。
終了の場面で起きがちなこと
- 事業を畳むことになったとき契約書に「資産・負債を折半する」とだけ書かれ、清算人の定めも評価の方法もない。誰が片付けるのかが決まらず、事業の預金や帳簿を持つ側と、見たい側の間で、資料の開示をめぐる争いになる。
- 立替金を精算するとき立替をした側は分配の前に返してもらえると考えていたが、書かれていないので、相手は分配の割合の中で相殺すると主張する。証憑の保存が不十分だと、立替の額そのものが争いになる。
- 撤去と原状回復のとき誰が費用を持つのかが決まっておらず、事業の預金が空のため、片方の当事者が一時的に立て替えたまま、返してもらえない。
- 残った設備を引き取るとき現物を引き取りたい側が低く評価し、渡す側が高く評価して、折り合わない。評価人の定めと期限がないために、清算が止まる。
- 一方が事業を続けるとき買取りの価額の算式がなく、継続を前提にした価値を入れるかで大きな差が出る。事業の債務に対する抜ける側の個人の責任が残ったまま、買取りだけが終わってしまう。
終了と清算の定めの点検
- 解散の事由を具体的に書き、通知しても相手の同意がなければ終わらない書き方になっていないか。
- 清算人を誰にするか、権限の範囲、報告の義務、報酬と費用を決めたか。
- 債務の弁済の順序と、当事者の立替金を分配に先立って精算するかを決めたか。
- 設備の撤去、原状回復、リース、借入の整理の担当と費用の負担を決めたか。
- 在庫と顧客の情報の扱いを決めたか。
- 残余財産の割合が出資の割合と違うとき、その理由が読み取れるか。評価の方法と評価人の定めがあるか。
- 一方が事業を継続するときの買取りの算式、支払の方法、個人の責任の扱いを決めたか。
よくあるご質問
共同事業を終わらせるには、相手の同意が必要ですか。
全員の同意があれば、いつでも解散できます(民法682条4号)。同意が得られないときは、契約書に定めた解散の事由があればそれに従い、なければ、やむを得ない事由があることを理由に解散を請求することになります(民法683条)。契約書には、通知による終了の手続と、解散の事由を、確かめられる基準で書いておくのが基本です。同意を条件にした書き方は、同意がなければ終わらず、後で争いになります。
清算は誰がしますか。
組合が解散したときは、清算は、総組合員が共同して、またはその選任した清算人がします。清算人の選任は、組合員の過半数で決めます(民法685条)。清算人の職務は、現務の結了、債権の取立てと債務の弁済、残余財産の引渡しで、そのために必要な一切の行為ができます(民法688条1項・2項)。契約書では、清算人を誰にするか、権限に制限を置くか、報告の義務を課すかを決めておきます。
残った財産は、折半にしてよいですか。
契約書で折半と定めれば、それに従います。契約で別段の定めがなければ、残余財産は各組合員の出資の価額に応じて分けます(民法688条3項)。出資の額に差があるときに折半にするなら、その理由が読み取れるようにしておくと、納得を得やすくなります。割合に加えて、債務の弁済が先であること、評価の方法、評価で意見が分かれたときの決め方も書いておきます。
相手が契約上の義務を果たさないので、契約を解除して出資を取り戻したいのですが。
民法の組合では、組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができません(民法667条の2第2項)。解除は将来に向かってのみ効力を生じます(民法684条、620条)。相手の不履行があるときは、脱退(民法678条)、除名(民法680条)、解散の請求(民法683条)、合意による終了のいずれかで整理することになります。
事業を畳んだ後も、借入や賃料の責任は残りますか。
残ることがあります。事業が結んでいた契約は、解散しても自動的になくなりません。それぞれの契約の解約の条件に従って終わらせる必要があります。また、組合の債権者は、組合財産に権利を行使できるほか、各組合員に対しても、損失分担の割合または等しい割合で権利を行使できます(民法675条)。当事者が個人として保証や担保を出していれば、その責任も残ります。契約書で、清算の費用の負担と、保証をした当事者の求償を決めておきます。
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本ページは一般的な情報提供です。共同事業の内容、出資の形、当事者どうしの関係によって、必要な定めは異なります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 法務省 / 中小企業庁