共同事業の契約書で先に決めるお金の5点:出す・使う・稼ぐ・分ける・畳む

共同事業の契約書は、事業の内容より先に、お金がどの順で動くかを書面にします。出資、費用、利益、損失、終了時の清算という5つの段階に分け、どこまでを契約書の本文に置き、どこからを別紙や後の合意に回すかを整理します。

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「利益は折半」とだけ書いて始めると、何を引いた残りを分けるのかが決まっておらず、最初の月の計算でつまずきます。

このページの要点

  • お金の動きは「出す・使う・稼ぐ・分ける・畳む」の5段階に分け、書き漏らした段階がないかを確かめる。
  • 契約の題名ではなく中身で見る。各当事者が出資をして共同の事業を営むなら、題名が何でも組合の規定が働く可能性がある(民法667条1項)。
  • 口約束でも契約は成り立つ(民法522条2項)。決めていない部分は条文の既定の扱いが働くので、点検して合わない部分を書面で置き換える。
  • ルールの枠は本文に、数字や個別の判断は別紙や都度の合意に回す。別紙と本文が食い違ったときの優先順位も本文に書く。

結論:共同事業のお金は、出す・使う・稼ぐ・分ける・畳むの順に決める

知人や取引先と店舗、サービス、商品を一緒にやることになったとき、契約書にまず書くべきなのは、事業の中身よりお金の動きです。事業の中身は走りながら変えられますが、お金の取り決めは、利益が出なかったとき、帳簿が見えなくなったとき、抜けたくなったときにはじめて読み返されます。そのときに「何も書いていない」「書いてあるが、何を引いた残りなのか分からない」では、話し合いの出発点がありません。

共同事業のお金の動きは、時間の順に並べると5つの段階に分かれます。出す(出資と払込)、使う(費用の負担と承認)、稼ぐ(売上の受け方と帳簿)、分ける(利益の定義と分配、損失の負担)、畳む(抜ける人の持分、つまり事業に対する取り分の払戻し、事業資産の帰属、終了と清算)です。条文をこの5段階のどこに当たるかで並べ直すと、書き漏らした段階が見つかりやすくなります。

共同事業のお金の5段階

  1. 出す出資の種類と額、払込の期限・口座、追加出資の条件
  2. 使う事業の費用に入れてよいものの範囲、上限と事前承認、立替の精算
  3. 稼ぐ売上を受ける口座、帳簿の付け方、出資金と売上金の管理者、確認の頻度
  4. 分ける利益の定義、控除項目、確定の時期、分配の割合と手続、赤字の負担
  5. 畳む脱退と持分の払戻し、事業資産の帰属、解散と清算の順序

5段階は一方向に進むだけではありません。「分ける」で決める利益の定義は「使う」で決める費用の範囲に左右され、「畳む」で決める払戻しの計算は「出す」で決める出資の数え方に戻ります。

この5段階のうち、揉めやすいのは真ん中の「使う」と「分ける」です。出資額は契約の時点で数字が見えていますが、費用と利益は事業が動き始めてから毎月の数字になって現れます。費用の範囲が広く書かれていれば、同じ売上でも分けられる利益は小さくなります。利益を折半すると書いてあっても、折半の対象が何かが決まっていなければ、毎月の計算が当事者の判断に委ねられます。各段階の詳しい書き方は、出資の決め方、費用負担の書き方、利益の定義の各ページで扱います。

契約の呼び名と中身はずれる:業務提携、共同経営、投資、レベニューシェア

共同事業の契約書には、「共同事業契約書」「共同経営契約書」「業務提携契約書」「資金提供契約書」「投資契約書」「レベニューシェア契約書」など、さまざまな題名が付きます。題名は当事者が選んだ呼び名にすぎず、どの条文が働くかは契約の中身で決まります。同じ「業務提携」でも、取引の協力を約束するだけの契約もあれば、出資を受けて利益を分け合う契約もあります。逆に、題名が「共同経営」でも、実質は一方が資金を出し、もう一方が運営を受託して報酬を受け取る契約であることがあります。

民法は、組合契約を、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって効力を生ずる契約としています(民法667条1項)。出資は労務でもよいとされています(同条2項)。商法は、匿名組合契約を、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって効力を生ずる契約としています(商法535条)。題名が何であっても、中身がこれらに当たる場合には、組合や匿名組合の規定が働く可能性があります。働くかどうかを当事者が曖昧にしたまま事業を始めると、条文の既定の扱いと、当事者の思い込みがずれたまま進みます。

よくある契約の呼び名と、お金の面で確かめる点

呼び名よくある中身お金の面で確かめる点
共同事業契約・共同経営契約複数の人が出資や労務を持ち寄り、事業の利益を分ける出資の数え方、損益の割合、決定の方法、抜けるときの計算
業務提携契約取引の協力が中心のものから、出資と利益の分配を含むものまで幅がある出資の有無、費用を負う人、分配が手数料か利益か
投資契約・資金提供契約資金を出す側と事業を担う側に分かれる返済の約束か損益の共有か、配当の仕組み、払戻し
レベニューシェア契約売上や利益の一部を分け合う分配の基礎が売上か利益か、費用の控除、支払の時期

確認の問い呼び名ではなく、中身で確かめる4つの問い

  1. 出したお金は、当事者の共同のものになるのか、一方の事業のために使われるのか。

    出したお金の所有者が誰になるかで、事業が終わったときの取り分と、債権者から見た責任の範囲が変わります。

  2. 損益を一緒に負うのか、確定した金額を返す約束なのか。

    損益を共に負うなら出資の考え方で、元本と利息を返す約束なら貸付の考え方で条文を組み立てます。出資と貸付の見分けは、このサイトでは詳しく扱わず、別のガイドで扱います。

  3. 事業の決定を一緒に行うのか、一方に任せるのか。

    決定の方法によって、承認の条項、帳簿を見る権利、運営する側の責任の書き方が変わります。

  4. 利益の分け方は、事業の成果に応じた割合か、売上に連動する手数料か。

    割合で分けるなら利益の定義が要ります。手数料なら、手数料の算定の基礎と支払時期が要ります。

資金を出す側と運営を担う側とでは、同じ契約書でも先に見る場所が違います。資金を出す側は、出した資金の使い道、帳簿を見る方法、損失が出たときの負担、戻ってくる条件を見ます。運営を担う側は、費用に入れてよい範囲、自分の報酬の扱い、資金が遅れたときの扱い、事業を続けたいときの買取りの条件を見ます。両方の立場から読んで、片方にだけ寄った書き方になっていないかを確かめるのが、契約書を整える作業の中心です。型ごとの違いは型の選び方で、お金の面から整理します。

立場ごとに、契約書で先に見る場所

立場先に見る条項見落としやすい点
資金を出す側出資の払込と使途、帳簿を見る方法、損失の負担、戻ってくる条件費用の範囲が広く、利益が小さくなる構造。出資金の管理者が運営者一人になっていること
運営を担う側費用に入れてよい範囲、自分の報酬、資金が遅れたときの扱い、続けたいときの買取りの条件報酬は定めがなければ請求できないこと(民法648条1項、671条)。承認の手続が重すぎて、運営が止まること
双方利益の定義、抜けるときの計算、終了時の清算の順序「折半」「協議して決める」の一行で済ませている箇所

口約束で始めたとき:書面がなくても契約は成り立ち、条文の既定の扱いが働く

共同事業は、「まず始めてみよう」と口頭の約束で動き出すことがよくあります。民法は、契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しないとしています(民法522条2項)。当事者は、法令の制限内で契約の内容を自由に決められます(民法521条2項)。口約束でも契約は成り立つ、ということです。

問題は、口約束では「何を約束したか」が人によって違って記憶されること、そして約束していない部分が空白のまま残ることです。空白の部分は、当事者の話し合いで埋められなければ、法律の既定の扱いが働く場面があります。組合に当たる共同事業であれば、たとえば次のような扱いになります。

  • 損益の分配の割合を定めなかったときは、各組合員の出資の価額に応じて定める(民法674条1項)。利益または損失のどちらか一方についてだけ割合を定めたときは、その割合は利益と損失に共通のものと推定する(同条2項)。
  • 組合の業務は、組合員の過半数で決定し、各組合員が執行する(民法670条1項)。条文は「組合員の過半数」と書いており、出資額に応じた票数とは書いていない。
  • 各組合員は、業務の決定と執行をする権利がなくても、業務と組合財産の状況を検査できる(民法673条)。
  • 存続期間を定めなかったときは、各組合員はいつでも脱退できるが、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期には脱退できない(民法678条1項)。
  • 組合が解散した後の残余財産は、各組合員の出資の価額に応じて分割する(民法688条3項)。

これらは、当事者が別の定めをしなければ働く既定のルールです。当事者が別の意思を表示したときは、公の秩序に関しない規定については、その意思に従います(民法91条)。つまり、書面で別の定めを置けば、条文の既定の扱いよりも契約の定めが優先します。書面を作る意味は、条文の既定の扱いが自分たちの事業に合っているかを一つずつ点検し、合わない部分を言葉にして置き換えることにあります。

既定の扱いが事業に合わない例は、少なくありません。出資額が違うのに「利益は折半」と話していた場合、書面がなければ、出資額に応じた分配になるのか、折半の合意があったことになるのかが争いになりえます。出資の一部が労務だった場合、労務の価額をいくらと見るかは、条文からは決まりません。メールやメッセージのやり取りが手がかりになることはありますが、決定的な記録が残っているとは限りません。すでに口約束で始めてしまった場合も、いまから書面に整えることができます。整え方はトラブルのときの確認のページでも扱います。

いまから書面に整えるときの順序

すでに口約束で始めている場合でも、いまから書面に整えることはできます。順序は次のとおりです。

  1. これまでに出したお金と物を、日付、額、受け取った人の記録で書き出す。通帳の記録、メッセージのやり取り、受領のメモが手がかりになる。
  2. これまでの売上、費用、分配の実績を、月ごとに一覧にする。何を費用として引き、どの割合で分けてきたかが、実際の運用として見える。
  3. 当事者が認識している取り決めを、それぞれ文章にして突き合わせる。食い違う点と、そもそも決めていなかった点を分ける。
  4. 食い違いと空白を、5段階の順に条文にする。あわせて、過去の出資と分配をそのままにするのか、改めるのかも書いて区切りをつける。

4つめの、過去の扱いは見落とされやすい点です。新しい契約書を結ぶ日以降だけを対象にするのか、事業を始めた日に遡って適用するのかによって、過去の分配をやり直す必要が生じるかどうかが変わります。遡らせない場合は、「契約の日より前に行った出資と分配は、当事者が確認した内容のとおりとする」といった確認の一文を置くと、区切りが付きます。

最初に決めることと、後で決めることの線を引く

共同事業の契約書に、最初から細部まで書き込む必要はありません。ただし、「ルールの枠」は契約書の本文に置き、「数字や個別の判断」は別紙や都度の合意に回す、という線は引いておく必要があります。枠が本文になければ、細部を決めるたびに、誰が決めるのかという争いが起きます。逆に、数字まで本文に固定してしまうと、事業が変わるたびに契約書全体を結び直すことになります。

契約書の本文に書くことと、別紙・都度の合意に回すこと

項目契約書の本文に書く別紙や都度の合意に回す
出資出資の種類、額、払込の期限、口座、遅れたときの扱い、追加出資の承認の手続追加出資の具体的な額と時期
費用事業の費用に入れる範囲の原則、上限、事前承認の方法個別の費用の見積もりと承認
利益利益の定義、控除項目、確定の時期、分配の割合月ごとの明細書の様式
帳簿口座の名義、管理者、確認の頻度、検査の方法報告書の具体的な項目
出入りと終了脱退の手続、払戻しの計算方法、解散の事由、清算の順序資産の評価額、引き継ぐ物の一覧

書き方の例別紙や都度の合意に回すときの定め

  1. 本事業の運営に関する細則は、甲乙が書面または電磁的方法により合意した別紙に定める。
  2. 別紙の内容が本契約と異なるときは、本契約の定めが優先する。
  3. 本契約に定めのない事項で、金額または割合に影響するものは、甲乙が書面または電磁的方法により事前に合意した場合に限り、その効力を有する。

別紙で本契約と違う内容が決まってしまわないよう、優先順位を本文に置きます。数値は○円、○%などと伏せて示しています。

本文に置く「枠」の候補は、お金に関するものに限っても多くあります。次の一覧は、契約を結ぶ前の見落としを防ぐための点検用です。

5段階ごとの、契約を結ぶ前の点検

  • 出資の種類(金銭・労務・現物)と、それぞれの評価の方法を書いたかを確かめる。
  • 払込の期限、口座、遅れたときの扱いを書いたかを確かめる。
  • 事業の費用に入れてよい範囲と、上限・事前承認の方法を書いたかを確かめる。
  • 売上を受ける口座の名義と、出資金を管理する人の名前を書いたかを確かめる。
  • 利益の定義と、控除項目、確定の時期を書いたかを確かめる。
  • 赤字になったときの負担の割合と、出資額を超えた分の扱いを書いたかを確かめる。
  • 業務を執行しない側が帳簿を見る方法と、頻度を書いたかを確かめる。
  • 抜けるときの手続と、払戻しの計算方法を書いたかを確かめる。
  • 解散の事由と、清算の順序、残った財産の分け方を書いたかを確かめる。

各段階で、よくある書き方と整えた書き方

5段階それぞれで、契約書に最もよく見られる書き方と、揉めにくくした書き方を並べます。いずれも一般的な例で、事業の実態に合わせて言葉を選び直すことが前提です。

書き方の例(一般的な例) お金の5段階のうち、3つの場面

分ける:利益の分け方

よくある書き方利益は、甲乙で折半する。
整えた書き方本事業の利益とは、売上から別表に掲げる費用を控除した残額をいい、各月の末日をもって確定する。甲乙は、利益を各2分の1の割合で分配する。

理由「利益」が何を引いた残りかと、いつ確定するかが書かれていないと、毎月の計算で食い違います。折半という割合の話の前に、分ける対象を定めます。

使う:費用の範囲

よくある書き方本事業に必要な費用は、本事業の負担とする。
整えた書き方本事業の費用は、別表に掲げるもの、および甲乙が事前に書面または電磁的方法で承認したものに限る。

理由「必要な」という言葉は、人によって幅が違います。範囲を別表で絞り、それ以外は事前承認にすると、費用が利益を食う構造を防げます。

畳む:終了時の財産

よくある書き方本契約が終了したときは、資産および負債を折半とする。
整えた書き方本契約が終了したときは、本事業の資産を別途定める方法で評価し、債務の弁済と立替の精算を終えた後の残余を、出資の価額に応じて分配する。

理由出資額が違うのに折半とすると、民法の既定の扱い(出資の価額に応じた分割)と食い違い、出資が多い側が不利になることがあります。評価の方法も書いておきます。

書き方の例(一般的な例) お金の5段階のうち、残りの2つの場面

出す:出資の書き方

よくある書き方甲は、本事業のために金○円を出資する。
整えた書き方甲は、本事業のために金○円を、○年○月○日までに、別紙記載の口座へ振り込む方法により出資する。出資金は、本事業に係る支出以外に使用せず、各当事者の固有の資産と区別して管理する。

理由額だけでは、いつ、どこへ、何に使うのかが決まりません。期限、口座、使途、分別管理(出資金を各人の財産と分けて管理すること)まで書くと、払込の確認や月次の突き合わせの土台になります。

稼ぐ:帳簿と報告

よくある書き方乙は、本事業の帳簿を作成する。
整えた書き方乙は、本事業の売上と費用を記録した帳簿を作成し、毎月○日までに、前月分の収支と資金の残高を、証憑の写しとともに書面または電磁的方法により甲に報告する。甲は、必要があるときは、帳簿および証憑を閲覧できる。

理由帳簿を「作成する」と書くだけでは、相手が見られるのかが決まりません。報告の頻度、証憑(領収書や請求書など、支出の裏付けになる書類)、閲覧の権利まで書くと、疑いが出たときに確認できます。

型によって、お金のルールが変わる

共同事業は、法的な型によって、お金に関するルールが変わります。組合では、各組合員の出資その他の組合財産は総組合員の共有に属します(民法668条)。匿名組合では、匿名組合員の出資は営業者の財産に属します(商法536条1項)。同じ「出資」でも、出したお金が全員の共有になるのか、相手の財産になるのかで、清算のときの取り分や、債権者との関係が違ってきます。有限責任事業組合では、組合員は出資の価額を限度として組合の債務を弁済する責任を負います(有限責任事業組合契約法15条)。法人を設立する形や、出資せずに業務委託で協力する形もあります。

これらの型の違いは、責任、財産、損失、払戻しの4つの軸で比較すると整理できます。比較表は型の選び方のページにまとめています。なお、不特定多数の人から出資を募る場合の規制は、このサイトでは扱いません。ここで扱うのは、当事者が合意した共同事業の契約書の書き方に限ります。

このサイトの読み方:段階ごとの道案内

5段階の各項目を、次のページで掘り下げています。契約書の案を手元に置いて、該当する段階のページを開いてください。

読む順番は、これから契約書を作るなら「出す」から順に、すでに事業が動いているなら、いま困っている段階から始めて構いません。どの段階から入っても、最後に「分ける」の利益の定義と、「畳む」の清算の順序に戻って、条文どうしがつながっているかを確かめると、書き漏らしが減ります。

起きがちなこと:最初の数か月と、事業が傾いたときに表に出る

場面別の起きがちなこと

  • 最初の月の分配のとき利益は折半と決めていたのに、何を費用として引くのかを決めておらず、片方が想定していた金額と、実際に分けられる金額が大きく違う。計算の根拠を見せてもらえず、話し合いが止まる。
  • 出資金が足りなくなったとき追加の資金が必要になったが、追加出資の義務があるのか、断ったらどうなるのかが書かれていない。資金を出した側と出せない側で、持分の扱いをめぐって意見が割れる。
  • 帳簿が見えなくなったとき出資金の管理者と売上金の管理者が別で、残高の認識がずれる。月次で突き合わせる決まりがなく、疑いだけが先に進む。
  • 関係が悪くなったとき抜けたいという申し出に対し、いつ、どの計算で、何が戻るのかが書かれていない。通知はしたが、相手の同意がなければ終わらない書き方になっていることに気づく。
  • 事業を畳むとき資産と負債を折半するという一行だけがあり、設備の評価、借入の返済の順序、在庫と顧客情報の扱いが決まっていない。片付ける順番を決めるところから、話し合いになる。

どの場面でも、元をたどると、契約の時点で「お金の5段階」のどこかが空白になっています。空白は、事業がうまくいっている間は表に出ません。うまくいかなくなったときに、はじめて読み返されます。だからこそ、契約書は有事の書類として、うまくいかなくなった日を想定して書きます。

よくあるご質問

共同事業の契約書は、まず何から書けばよいですか。

事業の内容より先に、お金の動きを5つの段階に分けて書きます。出す(出資と払込)、使う(費用の範囲と承認)、稼ぐ(売上の受け方と帳簿)、分ける(利益の定義と分配、赤字の負担)、畳む(脱退、払戻し、清算)です。数字や個別の判断は別紙に回してもよいですが、ルールの枠は本文に置きます。

口約束で始めてしまいました。契約は成立していますか。

契約の成立に書面は要りません(民法522条2項)。口頭の約束でも契約は成り立ちます。ただし、約束の内容は人によって記憶が違い、約束していない部分は条文の既定の扱いが働く場面があります。いまからでも、合意した内容と決めていなかった点を書面に整えることができます。

契約書の題名が「業務提携」なら、組合の規定は関係ありませんか。

題名では決まりません。各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約したと言える中身であれば、組合契約に当たり、民法の組合の規定が働く可能性があります(民法667条1項)。題名より、出資の有無、損益を共に負うか、事業の決定を一緒に行うかといった中身で判断します。

利益を「折半」とだけ書いておけば足りますか。

足りません。折半は割合の話で、何を引いた残りを利益と呼ぶのかは決まりません。売上から引く費用の範囲、確定の時期、毎月の計算書の出し方を書いておかないと、毎月の計算で食い違います。組合に当たる場合の民法674条は、割合を定めなかったときは出資の価額に応じるとしていますが、利益の中身は定めていません。

書面を作るとき、条文の既定の扱いはそのまま使えますか。

公の秩序に関しない規定は、当事者が別の定めをすればその定めが優先します(民法91条)。既定の扱いが自分たちの事業に合うかを一つずつ点検し、合わないものだけを置き換えるのが基本です。たとえば、残余財産は出資の価額に応じて分割するのが既定ですが(民法688条3項)、事業の実態に合わせて評価の方法を足すことができます。

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本ページは一般的な情報提供です。共同事業の内容、出資の形、当事者どうしの関係によって、必要な定めは異なります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 法務省 / 中小企業庁

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