このページの要点
- 型は、責任・財産・損失・払戻しの4つの軸で比べて選ぶ。
- 組合は出資が総組合員の共有になり(民法668条)、債権者は各組合員にも請求できる(民法675条)。匿名組合の出資は営業者の財産に属する(商法536条1項)。
- 有限責任事業組合は出資の価額が責任の限度だが(有限責任事業組合契約法15条)、労務は出資にできず(同法11条)、記載事項などの決まりが多い。
- 契約の性質は、否定ではなく「誰が何を出し、誰が運営し、利益をどう分けるか」の中身で書く。
結論:型は呼び名ではなく、責任・財産・損失・払戻しの4つで選ぶ
共同事業をどの型で組むかは、「組合」「匿名組合」「有限責任事業組合」「法人」「業務委託」といった名前の好みで決める話ではありません。出資をした人が、事業の債権者に対してどこまで責任を負うのか。出したお金や買った物が、誰のものになるのか。赤字が出たとき、誰が持つのか。出したお金は、いつ、どのように戻るのか。この4つが型ごとに違うので、お金の面から型を選ぶなら、この4つの軸で並べて比べるのが近道です。
ここでは、4つの軸を次の意味で使います。「責任」は、事業の債権者(取引先や貸主)に対して、誰がどこまで支払う義務を負うかです。「財産」は、出資金や事業で買った設備が、法的に誰のものになるかです。「損失」は、赤字が出たときの負担です。「払戻し」は、出資した金額が、事業の途中や終了時に戻る場面での扱いです。
なお、このサイトで扱うのは、当事者が合意した共同事業の契約書の書き方です。不特定多数の人から出資を募る場合の規制は、このサイトでは扱いません。出資と貸付の見分けも、別のガイドで扱います。
5つの型を4つの軸で比べる
次の表は、各型の条文上の出発点を並べたものです。契約書で別の定めをできる部分も多く、法人や業務委託は表の記載を超える論点があります。ここでは、型を選ぶときに先に確かめる骨組みとして見てください。
共同事業の5つの型の比較(条文上の出発点)
| 型 | 責任 | 財産 | 損失 | 払戻し |
|---|---|---|---|---|
| 組合(民法667条〜) | 組合財産のほか、各組合員にも、損失分担の割合または等しい割合で請求される(675条) | 出資その他の組合財産は総組合員の共有(668条) | 契約で定めた割合。定めなければ出資の価額に応じる(674条) | 脱退時は脱退時の財産状況で計算(681条)。解散後は残余財産を分割(688条) |
| 匿名組合(商法535条〜) | 匿名組合員(出資する側)は、営業者(事業を営む側)の行為について第三者に権利義務を持たない(536条4項) | 出資は営業者の財産に属する(536条1項) | 出資が損失で減ると、損失を埋め合わせる(てん補する)まで配当を請求できない(538条) | 終了時に営業者が出資の価額を返す。損失で減っていれば残額(542条) |
| 有限責任事業組合(有限責任事業組合契約法) | 出資の価額を限度に組合の債務を弁済する責任(15条) | 組合財産は自分の財産と分けて管理する(20条) | 履行した出資の価額に応じる。総組合員の同意で別段の定めも可(33条) | 分配は分配可能額の範囲内(34条) |
| 法人の設立 | 株式会社の株主は引受価額が限度(会社法104条)。合同会社は社員全員が有限責任(会社法576条4項) | 事業の財産は法人のもの | まず法人が負い、出資者は出資の範囲で影響を受ける | 出資の払戻しや配当は会社法の定めに従う |
| 業務委託(出資なし) | 各自が自分の事業の債務を負う | 各自のもの。成果物の権利は契約で決める | 出資がないので、出資が減る形の損失はない。報酬の定め次第 | 払戻しはなく、報酬と費用の精算になる |
表から分かるとおり、同じ「お金を出して一緒にやる」でも、型が違えば、出したお金の所有者も、赤字のときの責任も変わります。次の節から、型ごとに契約書に書く事項を見ていきます。
民法の組合:出資と共有、組合員の責任、損益の割合
民法の組合は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約する契約です(民法667条1項)。出資は労務でもかまいません(同条2項)。組合には法人格がなく、出資その他の組合財産は総組合員の共有に属します(民法668条)。事業のために買った設備も、口座にある売上金も、全員の共有財産として扱われます。誰か一人の名義の口座や名義の設備であっても、中身が組合財産であれば、その名義人が自由に処分できるわけではありません。
組合の債権者は、組合財産について権利を行使でき、さらに、各組合員に対しても、損失分担の割合または等しい割合で権利を行使できます。ただし、債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合によります(民法675条)。つまり、組合員は、出資した額を超えて、債権者に対して自分の財産で責任を負う可能性があります。出資だけして運営は任せるつもりの人でも、組合の形をとる場合は、この責任を前提に契約書を作る必要があります。
組合員の間で決めた損失分担の割合は、債権者に対しては、債権者が債権の発生の時にその割合を知っていたかどうかで意味が変わります。知っていたときは、その割合で請求されます。知らなかったときは、債権者が、損失分担の割合か等しい割合かのどちらかを選んで請求できます(民法675条2項)。損失分担の割合を契約書に書く意味は、組合員どうしの間の負担の基準を決めることにあり、債権者との関係では、それを知らせたかどうかで効果が変わる、という点を押さえておきます。
損益の分配の割合は、当事者が定めなかったときは出資の価額に応じて定め、利益または損失のどちらか一方についてだけ割合を定めたときは、利益と損失に共通のものと推定されます(民法674条)。業務の決定は、組合員の過半数で行うのが原則ですが、契約で一人または数人の組合員や第三者に委任できます(民法670条)。業務を決定し執行する権利がない組合員でも、業務と組合財産の状況を検査する権利があります(民法673条)。
組合には、契約書の作り方に影響する特徴がもう一つあります。組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務を履行しないことを理由に、組合契約を解除できません(民法667条の2第2項)。出資を遅らせた人がいても、他の組合員は契約を解除して逃げることができません。そのため、契約書の側で、出資の遅れに対する除名の事由や、遅延損害金(支払が遅れたことに対して上乗せして払う金額)、持分の調整を用意しておく意味が大きくなります。除名は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってでき、除名した組合員に通知しなければ対抗できません(民法680条)。詳しくは出資の決め方と持分の譲渡・加入・脱退で扱います。
書き方の例組合に当たる共同事業で、業務執行の者を定めるときの書き方
- 本事業の業務の決定および執行は、乙が行う。
- 甲は、前項の業務を執行しない。ただし、甲は、本事業の業務および財産の状況を検査することができる。
- 乙は、毎月○日までに、前月の収支および資金の残高を、書面または電磁的方法により甲に報告する。
- 乙が前項の報告を正当な理由なく怠ったとき、その他本契約に定める事由があるときは、甲は、乙を業務の執行から外すことができる。
第1項から第3項は民法670条2項・673条の考え方を契約書の言葉にしたものです。第4項は、業務を任された組合員の解任に正当な事由が要る(民法672条2項)ことを踏まえ、事由を契約に書いておく例です。
匿名組合:出資は営業者の財産になり、出資者は表に出ない
匿名組合は、当事者の一方(匿名組合員)が相手方(営業者)の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約する契約です(商法535条)。「匿名」という名前ですが、出資者の名前を秘密にする契約という意味ではありません。匿名組合員は営業者の行為について、第三者に対して権利も義務も持たない(商法536条4項)、つまり、対外的には営業者だけが事業の当事者として表に出る形、という意味です。
匿名組合員の出資は、営業者の財産に属します(商法536条1項)。組合のように全員の共有になるのではなく、営業者の財産になります。匿名組合員が持つのは、営業者に対して利益の分配や出資の返還を求める権利です。匿名組合員は、営業者の業務を執行したり、営業者を代表したりすることができません(同条3項)。資金だけ出して、運営は相手に任せたいという形には合います。出資者が日々の運営の指示まで行う定めを置くと、この条文の前提とは合わなくなります。匿名組合員が、自分の氏名や商号を営業者の商号に使うことを許諾したときは、その使用以後に生じた債務について、営業者と連帯して弁済する責任を負います(商法537条)。
損失については、出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は利益の配当を請求できません(商法538条)。契約が終了したときは、営業者は出資の価額を返還しなければなりませんが、出資が損失によって減少していたときは、その残額を返せば足ります(商法542条)。条文の組み立てでは、損失は出資の減少として現れ、返還の場面では残額を返せば足りる形になっています。
帳簿を見る権利は、組合と異なる形で定められています。匿名組合員は、営業年度の終了時に、営業者の営業時間内に、貸借対照表の閲覧や謄写を請求し、または営業者の業務と財産の状況を検査できます。重要な事由があるときは、いつでも、裁判所の許可を得て検査できます(商法539条)。契約書で、月次の報告や帳簿の開示の方法を、条文よりも広く定めておくことがよく行われます。
契約の終了についても、条文に出発点があります。存続期間を定めなかったときは、各当事者は営業年度の終了時に契約を解除できますが、6か月前の予告が必要です。やむを得ない事由があるときは、期間の定めにかかわらず、いつでも解除できます(商法540条)。事業の成功や成功の不能、営業者の死亡や破産などでも契約は終了します(商法541条)。契約書では、予告の期間と、終了時の返還の計算方法を明確にしておきます。計算の考え方は終了と清算のページで扱います。
匿名組合に近い形で資金を出す場合、契約書には、営業者の側の義務をはっきり書いておくことが要になります。営業者は、自己の名で事業を運営し、出資者は表に出ません。出資者が事業の状況を知る手段は、営業者からの報告と、条文が認める限られた検査だけです。次の例は、報告と返還を中心に、営業者の義務を書いたものです。
書き方の例匿名組合に近い形で、営業者の報告と返還を定める書き方
- 甲は、乙の営業のために、金○円を出資する。この出資は、乙の財産に属する。
- 乙は、自己の名において本事業を運営する。甲は、乙の業務を執行せず、乙を代表しない。
- 乙は、毎月○日までに、前月分の収支および資金の残高を、書面または電磁的方法により甲に報告する。甲は、各営業年度の終了後○日以内に、乙の貸借対照表の写しの交付を求めることができる。
- 本事業の利益は、第○条に定める利益の定義に従って計算し、各営業年度の終了後に、甲に○%、乙に○%の割合で分配する。
- 本契約が終了したときは、乙は、甲に出資の価額を返還する。ただし、出資が損失によって減少したときは、その残額を返還する。
第1項は商法536条1項、第2項は同条3項、第5項は商法542条の考え方を契約書の言葉にしたものです。第3項は、条文が定める検査(商法539条)より広い報告を、契約で約束する例です。
有限責任事業組合:責任が出資の範囲に限られる代わりに、決まりが多い
有限責任事業組合(LLP)は、有限責任事業組合契約に関する法律(有限責任事業組合契約法)に基づく型で、個人または法人が出資して、それぞれの出資の価額を責任の限度として共同で営利を目的とする事業を営む契約です(同法3条1項)。組合員は、出資の価額を限度として、組合の債務を弁済する責任を負います(同法15条)。この点が、民法の組合との大きな違いです。
代わりに、決まりが多く置かれています。契約の効力は、各当事者がそれぞれの出資に係る払込みまたは給付の全部を履行することによって生じます(同法3条1項)。組合契約書は、全員が署名または記名押印して作成し、組合の事業、名称、事務所の所在地、組合員の氏名または名称と住所、効力発生日、存続期間、組合員の出資の目的と価額、事業年度を記載しなければなりません(同法4条)。出資の目的は、金銭その他の財産に限られ、労務は出資にできません(同法11条)。
運営の面でも、民法の組合と違う点があります。業務執行の決定は、原則として総組合員の同意によらなければならず、重要な財産の処分や譲受け、多額の借財以外の事項については、契約書で同意を要しない旨を定められます(同法12条)。任意の脱退は、やむを得ない場合を除いてできず、契約書で別段の定めをすることはできます(同法25条)。民法の組合では、存続期間を定めなかったときは各組合員がいつでも脱退できる(民法678条1項)ので、ここも逆の出発点です。損益の分配の割合は、総組合員の同意で別段の定めをした場合を除き、会計帳簿に記載された各組合員が履行した出資の価額に応じて定めます(同法33条)。組合財産は、その分配の日における分配可能額を超えて分配できません(同法34条)。
この型は、契約書の側で決めることと、法律が決めていることの区別が大切です。出資の評価、損益の割合、脱退の条件のように契約で調整できる点と、組合契約書の記載事項、会計帳簿の作成、財務諸表の備置き(同法29条・31条)のように法律が求めている点を分けて読みます。労務を提供する人がいる場合は、労務を出資にできない分、損益の割合を総組合員の同意で定める形(同法33条)を検討することになります。
組合契約書に記載する事項の点検(有限責任事業組合契約法4条3項)
- 組合の事業を書いたかを確かめる。
- 組合の名称を書いたかを確かめる。
- 組合の事務所の所在地を書いたかを確かめる。
- 組合員の氏名または名称と住所を書いたかを確かめる。
- 組合契約の効力が発生する年月日を書いたかを確かめる。
- 組合の存続期間を書いたかを確かめる。
- 組合員の出資の目的とその価額を書いたかを確かめる。
- 組合の事業年度(1年を超えない期間)を書いたかを確かめる。
法人を設立する形と、出資せずに業務委託で協力する形
法人を設立する形では、事業の主体は法人になります。株式会社の株主の責任は、その有する株式の引受価額が限度です(会社法104条)。合同会社は、社員の全部を有限責任社員とします(会社法576条4項)。合同会社の有限責任社員の出資の目的は、金銭等に限られます(同条1項6号)。事業の財産は法人のものになり、出資者個人の財産とは別になります。その分、出資者と運営者の間の約束(誰が代表者になるか、運営者の報酬をどう決めるか、持分や株式を手放すときの条件など)を、法人の設立書類とは別に合意書として整える場面が出てきます。設立の手続や、会社の運営に関する会社法の規定、税の取扱いは、このサイトでは扱いません。
法人を設立する場合に、出資者どうしの合意書の側で決めておく事項の例は、次のとおりです。
- 誰が代表者になるか。代表者を交代させる条件と、交代の手続。
- 運営を担う出資者が受け取る報酬の決め方と、上限、承認の方法。
- 利益が出たときに配当を行う方針と、法人に残す額の考え方。
- 追加の資金が必要になったときの出資の義務の有無、上限、承認の手続。
- 出資者が持分や株式を手放すときの先買権(他の出資者が先に買える権利)、売却の条件、評価の方法。
- 出資者が抜けるとき、事業を畳むときの、残った財産の分け方。
出資せずに業務委託で協力する形では、お金の流れは「出資と分配」ではなく「報酬と費用の精算」になります。法律行為でない事務の委託は準委任として委任の規定が準用され(民法656条)、仕事の完成を約束するものは請負になります(民法632条)。報酬は、特約がなければ請求できません(民法648条1項)。成果報酬として「利益の一部」や「売上の一部」を払う形は、外見が共同事業に近づきますが、出資がなく、損失を負わない点で違います。ただし、契約書の書き方によっては、実質が共同事業と読める部分が混ざります。たとえば、受託者が費用の一部を負担し、成果が出なければ報酬が減る仕組みを置くと、損失の一部を受託者が持つことになります。こうした混ざった書き方は、どの型として読むのかが曖昧になるため、書面に「何の契約か」を言葉で置いておく意味があります。
型を決める問いと、型が混ざるときの書き方
型を選ぶ段階では、条文を読む前に、次の問いに当事者で答えを出しておくと、候補が絞れます。
確認の問い型を決めるために、当事者で確かめる問い
出資者は、事業の債権者に対して出資額を超えて責任を負ってよいか。
組合では各組合員が債権者に対して責任を負う可能性があります(民法675条)。出資額に限りたいなら、有限責任事業組合や法人、あるいは匿名組合の形が候補になります。
出したお金や買った設備は、全員の共有にするのか、運営する側の財産にするのか。
組合は共有(民法668条)、匿名組合は営業者の財産(商法536条1項)です。事業が終わったときの取り分と、一方の債権者から差押えを受けたときの影響が変わります。
資金を出す側は、運営にどこまで関与するのか。
運営に関与しない前提なら匿名組合に近づきますが、関与しすぎると前提が崩れます。関与する前提なら、承認事項と検査の方法を契約書に置きます。
出資の一部が労務のとき、その価値をいくらと数えるのか。
有限責任事業組合は労務を出資にできません(有限責任事業組合契約法11条)。労務を出資とするなら、労務の出資を認める民法の組合(民法667条2項)の形を前提に、評価の方法を決めます。
出したお金は、途中で戻せるようにするのか、終了まで戻さないのか。
有限責任事業組合は分配可能額の範囲で、匿名組合は終了時に、組合は脱退や清算の場面で戻ります。途中で戻す仕組みは、契約書で個別に設計します。
当事者の合意が型の中間にある場合、契約書の書き方で混乱が生じやすくなります。出資と書きながら元本の全額返還と確定した配当を並べると、出資なのか貸付なのかが読み取れなくなります。「組合ではない」と書いて、組合の規定の適用を避けようとする書き方も、中身が組合に当たるなら、その一文だけで決まるとは限りません。次の対比は、いずれも一般的な例です。
書き方の例(一般的な例) 契約の性質を、否定ではなく中身で書く
契約の性質の書き方
理由「組合ではない」と否定しても、中身が組合なら、その中身で判断される可能性があります。誰が何を出し、誰が運営し、利益をどう分けるのかを言葉にしておくと、条文の働き方が読み取れます。
出資金の戻し方
理由全額返還と確定した配当を並べると、貸付と読まれる余地が残ります。出資として組むなら、損失によって減った分は戻らないことと、配当の原資が利益であることを揃えます。
型を決めた後は、その型に合わせて、出資の決め方、利益の定義、赤字・損失の負担、帳簿・口座・検査権の各ページで扱う条項を整えます。型によって条文の出発点が違うので、同じ条項でも、置く位置や言葉が変わります。
起きがちなこと:型の選び方に起因するすれ違い
場面別の起きがちなこと
- 事業の債権者から請求を受けたとき出資しただけで、運営には関与していないつもりだったが、組合に当たる形で、債権者から損失分担の割合に応じた請求を受ける。有限責任のつもりで契約していたため、驚く。
- 出資者が運営に口を出すとき匿名組合に近い形で資金だけ出したつもりが、日々の運営の指示を出し、営業者の代わりに取引先と交渉するようになる。契約書が想定した役割分担と、実態がずれていく。
- 労務を出資にしようとしたとき有限責任事業組合の形をとりたいが、一方の出資が労務の提供であることに気づく。労務は出資にできないため、損益の割合で調整するのか、別の型にするのかを決め直す。
- 契約の題名を気にしすぎたとき題名を「業務提携」にし、「組合ではない」と書いたので安全だと考えていたが、中身は出資と利益分配で、民法の組合の規定が働きうる状態のまま進んでいる。
- 終了のとき出資金が共有になる型か、相手の財産になる型かを決めずに始めたため、設備と預金の帰属で意見が分かれる。契約の性質を書いていないことが、清算の話し合いを重くする。
よくあるご質問
共同事業の型は、どの順で考えて選べばよいですか。
条文の名前より先に、責任・財産・損失・払戻しの4つの軸で当事者の希望を確かめます。出資者が債権者に対して出資額を超えて責任を負ってよいか、出したお金は共有か相手の財産か、赤字は誰が持つか、出したお金はいつ戻るか。この4つに答えが出ると、組合、匿名組合、有限責任事業組合、法人、業務委託のどれが合うかが絞れます。
出資者が事業の債権者に直接責任を負うのは、どの型ですか。
民法の組合では、組合の債権者は、各組合員に対しても、損失分担の割合または等しい割合で権利を行使できます(民法675条2項)。有限責任事業組合では、組合員は出資の価額を限度に責任を負います(有限責任事業組合契約法15条)。匿名組合の匿名組合員は、営業者の行為について第三者に対して権利義務を持ちません(商法536条4項)。ただし、自分の氏名等を営業者の商号に使うことを許諾した場合は例外があります(商法537条)。
匿名組合は、出資者の名前を隠す契約という意味ですか。
名前を隠す契約という意味ではありません。匿名組合員は営業者の行為について第三者に対して権利義務を持たず(商法536条4項)、出資は営業者の財産に属します(同条1項)。対外的には営業者だけが事業の当事者として表に出る形を指します。
有限責任事業組合では、労務を出資にできますか。
できません。組合員は、金銭その他の財産のみを出資の目的にできます(有限責任事業組合契約法11条)。労務を提供する人がいる場合は、損益の分配の割合を、総組合員の同意で別段に定める方法(同法33条)などで調整することを検討します。
契約書に「組合ではない」と書けば、組合の規定は適用されませんか。
その一文だけで決まるとは限りません。各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約したと言える中身であれば、組合契約に当たる可能性があります(民法667条1項)。否定の書き方よりも、誰が何を出し、誰が運営し、利益をどう分けるのかを中身で書くことが、契約の性質を読み取りやすくします。
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本ページは一般的な情報提供です。共同事業の内容、出資の形、当事者どうしの関係によって、必要な定めは異なります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 法務省 / 中小企業庁